【ゾンビ島】B

 いきなり現れたゾンビ女が気合いを体に込めると、衣服が千切れ飛んで胸に七つの傷が浮かび上がった。

 その傷を見た、モヒカン頭の雑魚ゾンビの声が震える。

「お、おまえは!! ケン・シロン!! がはッ!?」

 ケン・シロンの人差し指が、ゾンビの眉間に突き刺さる。
「おまえは、すでに死んでいる……土に還れ」

「ゆべし!」

 シロンの攻撃で、次々と塵になって消えていく雑魚キャラゾンビたち……すべてのゾンビを倒し終わったシロンの顔から険が、消えて穏やかな顔つきに変わる。

「大丈夫ですかタコさん、あたしを呼ぶ声が聞こえたから来てみたんですけれど」

 千切れ飛んでマイクロミニの黒い下着だけになっていた、シロンの衣服が再生して元にもどる。

軍医タコが言った。
「あなたのコトは知っています……ケン・フラン教授の姉で、北斗珍拳の使い手『ケン・シロン』……しかし、どうしてそんなゾンビの姿に? わたしが知っているケン・シロンは人間だったはず」

 シロンが照れくさそうに頭を掻きながら言った。
「いやぁ、うっかり死んじゃって……三途の川みたいなところで脱衣婆〔だつえば〕に着ている物を脱がされて、スッポンポンにされた時……『ラストチャンスをやるから。ゴーストになって十五人の変態の魂を集めるか……折れた剣を背負い豚の背に乗って世界を巡り、王国の転覆を図った七人の大変態を集めるか……元の肉体にもどるか、どれか一つ好きなのを選べ』って言われて、変態に関わるのは嫌だったから元の肉体にもどる方を選んだんですけれど」

「何かあったんですか?」

「いやぁ、弟のケン・フランが死んだ姉の体を使って、違法な死者甦生実験をしていて……元の肉体にもどったら、こんなゾンビの姿に……参りました、ははははっ」

 ケン・シロンは続けて喋る。
「ゾンビ化して甦った時に、裸女化したんですけれど……フランの奴は、姉のあたしをこの島に放り込んで知らんぷりです。タコさんは、どうしてこの島に?」

「実は……キ○タマを探していまして」
 軍医タコは、シロンに黄金のキ○タマ探しをしているコトを伝えた。

 軍医タコの話しを聞いたシロンは、首をかしげる。
「黄金のキ○タマは、あたしは知らないけれど……ゾンビ町なら、何か情報を得られるかも知れないから町に案内します……島からの脱出ルートなら、あたし知っていますから……フランには、ちょっと言いたいコトがあるので」

 軍医タコとシロンはゾンビの町へと向かった。歩きながらゾンビ女とタコは談話した。

「フランとあたしは、拳法家の家に生まれて幼い頃から修行を積んできたんですが、どうも武道の才能があったのは、あたしの方だけで……弟のフランは北斗珍拳を諦めて『マッドサイエンティスト』の道を目指したんです」

「人にはそれぞれ、向き不向きというものもありますからね……フランにはマッド科学者の才能があったのでしょう。大学では、わたしとドクター・エロとフランの三人で組んで医学的なイタズラを、よくしたものです……夜、眠っている地球人の女の子の寝室に忍び込んで、麻酔光線で熟睡させてから、人工ペニスを短時間で股間に移植したりして遊んでいました……特にこの遊びはドクター・エロが好きだったみたいです……と、ある地球の女子寮に忍び込んだ時には、眠らせたルームメイトの女の子三人を裸で並べて。誰が一番早く正確に『人工ペニス』の移植手術をできるのか競った時は最高でした」



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あきゅろす。
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