【ゾンビ島】@

『巨人と小人の島』で、のっぺらぼうが、銀牙のペニスに「んぐッ……ぐふッ」と、むしゃぶりついているのを見ていた尻目が、何かを思い出したような口調で言った。

「黄金のキ○タマが、この島には無かったから……軍医さんに伝えないと、あらよっと。尻花火」

 そう言って、膝伸ばしの四つ這い姿勢で、ヒップを天に向けた尻目の尻から眼球が勢い良く発射され……花火のように空で爆発音を出して破裂した。

 唖然とした夜美が尻目に質問する。
「今の何?」
「尻花火です……単発発射しかできませんけれど、島にキ○タマが無かったら、なんらかの方法で伝えるように取り決めてあるので」

 のっぺらぼうの、銀牙に対するフェラチオが続いていた頃……別の島では軍医タコと隊長タコが、尻目たちがいる『巨人と小人島』の上空を眺めていた。


「今の爆音は、尻目の尻花火ですね……あの島にはキ○タマは無し……と」

 軍医タコは手にしたタブレット末端に表示された、実験群島地図のひとつを触腕でなぞって×印を付けた。

 隊長タコが自分たちが『どこでもホール』で到着した、島の周辺を見回す。

 ブリッジで繋がった島の入り口は、高い鉄柵で閉鎖され島の周囲はグルッと、高い柵と二重のフェンスと鉄条網で隔離されたようになっていた……軍医と隊長が居る場所は、柵の近くで背後には針葉樹の森が広がっている。

「軍医、オレたちが居る島……なんか物々しくないか? まるで外部からの侵入を拒んでいるような?」

「外部からというよりは、島の内部から何かを出さないように隔離しているようにも見えますけれど……あっ、柵には触れない方がいいですよ。高圧電流が流れていますから」

「もしかして……この島、すごくヤバい島なんじゃ」

「かも知れませんね……こんなコトもあろうかと、隊長を連れてきたんですから」
「どういう意味だ?」
「その時が来たらわかります……最初に言っておきますけれど『どこでもホール』も万能では無いですからね……圏外だったり、一日の使用回数が決まっていたり、充電不足で座標設定ができなかったり、場所によっては使えなかったりしますから……今回は、あと一回だけしか使えませんから

 その時……茂みがガサガサと動き、モヒカン頭で皮ジャンを着た。北○の拳に出てくる雑魚キャラのような男たちが現れた。

 男たちの顔色は鉛色をしていて、血色が悪く……ある者は眼窩から目玉が垂れ下がっていたり。頭蓋骨の一部が見えていたり。ウジ虫が顔に這っていたりした……現れた男たちは死んでいた。

 手オノを持ってヨタヨタとした足取りで近づいてくる、雑魚キャラ男を見て軍医が言った。

「ここは『ゾンビ島』でしたか……どおりでコバエが多いと思いました」

 リーダーらしきゾンビ男が、軍医と隊長を見て言った。

「美味そうな匂いがするから来てみたら、タコじゃねぇか」

 どうやら品性は悪そうなゾンビだが、自我と知性はあるようだ……軍医がゾンビ男に質問する。

「あなたたちはゾンビですか?」
「誰が死んでいるゾンビだ! 人を見てモノを言え!」

 部下のゾンビ男が、リーダー格のゾンビ男をなだめる。
「兄貴、オレたち間違いなく死んでいますよ……この島の住人は全員ゾンビですよ」
「おっと、そうだったな……たまに脳の働きが鈍って、自分が死んでいたのを忘れる時がある……そうだ、オレたちは一度死んで甦ったゾンビだ。でも安心しな人間は襲わないから……人間はな、へへへっ」



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