実験群島@

 蘭花が軍医タコに訊ねる。
「タコ神二号さまが、ご存じの方なんですか?」

【マッドサイエンティスト養成大学】の同期です……ちなみに、ドクター・エロも同じ同期生です」と、答えた。

 軍医が話しを進める。
『実験群島』は、大小数島の島々が一緒に海洋を移動している特殊な群島です……今回は、それぞれの島々を別々に探索するために、多人数で行きましょう」

 軍医タコが選抜したメンバーは……蘭花、銀牙、美久の裸族人類三人。妖女・尻目、響子、そして女医の非凡トリオ。軍医タコ、隊長タコの合計八名だった。

「乾燥している隊長は水でもどしてから、わたしが連れて行きますから……みなさんは、一足先に群島に向かってください……女医さん、えーと、お名前は?」

「夜美です……鋸 夜美〔のこぎりやみ〕……あたしも行かないとダメなんですか?」

「はい、実験群島について一番詳しいのは、あなたなので……ケン・フラン教授とも数ヵ月、生活を共にしたんでしょう」

「生活を共にしたって言っても、マッドな医学を学ぶ助手でしたけれど……油断をすると教授は、すぐにあたしを実験材料にしたがって、気が抜けない毎日でした」

「黄金に輝くキ○タマが、どの島にあるのかわかりますか?」

「さあ、細かい場所までは……教授と食事をしていた時に『この実験群島のどこかに、黄金に輝くキ○タマを隠してきた……ひと繋がりの宝〔ワ○ピース〕のように、見つけた奴にくれてやる』って漏らされただけですから」

「そうですか……相変わらずの性格ですね、ケン・フラン教授は……学生の頃からモノを隠すのが好きで、わたしなんかよく上履きを隠されました……やはり、大人数でキ○タマ探しをした方が群島では効率良さそうですね……キ○タマの偽物には気をつけてください、ケン・フランはトラップ仕掛けるのも好きでしたから」

 夜美がタメ息混じりに言った。
「学生時代から教授の性格って変わっていないんですね……あたしも、朝起きたら裸にひんむかれていて、実験台の上に拘束されて変な人体実験されそうになったから……慌てて群島から逃げ出したんですけれど……できれば戻りたくはないなぁ、あそこには」と……言った。


 数時間後……大気圏を抜けて、源サンが引っ張るリヤカーに乗って、響子と尻目と一緒にやってきた女医の夜美は、リヤカーの荷台で真っ青な吐きそうな顔をしていた。

 夜美が一緒に乗っている、響子と尻目に訊ねる。
「あんたたち、よくこんな拷問みたいな移動に、毎回耐えられるね……宇宙服も無く、体の穴から内臓が飛び出ないように必死に穴を締めたり手で押さえたりして、大気圏突入の摩擦熱地獄に耐える移動に」

「慣れましたから……お尻の穴と膣穴をキュッと気合いで締めるのがコツです」

「あたしも、一〜二度は、お尻から眼球飛び出しちゃいましたけれど……人間慣れと忍耐と気合いですね」

 そう言って尻目は夜美に向かって、四つ這いになるとバレーボールのような眼球を瞬きさせて見せた。

 今度は響子が夜美に質問する。
「夜美さんは、どうして『どこでもホール』で簡単移動しなかったんですか? そうすれば、苦しい思いをしなくてすんだのに」

「あの穴だけは二度とイヤ! 入り口も女体の穴からなんて、絶対にイヤ! タコ型宇宙人も、女体の穴を座標直結して普段から使っているの?」

「いいえ、軍医さんは普通に空間座標から出入りしていますよ……隊長タコさんが使う時は、変な場所を出口や入り口にしていますけれど。トイレの便器が出入り口だったりして」

「それ、絶対にワザと座標設定しているわね」



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あきゅろす。
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