いやさか軍国の守護神A

「『すめらぎ皇国』の大巨人」貴族は攻めてなんか来ないわよ……その昔、酒に酔った平安貴族の大巨人男が蹴鞠をしながら、この国にふざけ半分で攻めてきたコトもあったけれど……いやさか国の守護神生物兵器で、フルボッコにして追い払ってやった……それ以来、大巨人は現れていない……お気楽な大巨人貴族は、あたしたちには興味無いから……『いやさか軍国』が一番警戒しているのは、あなたたちサイズの凶悪な中巨人の脅威なのよ」

「守護神の生物兵器って、どんなのだ? 発酵途中の巨○兵みたいなモノか?」

「それは実際に見てもらった方が早いわね、特別に見せてあげる……清光に準備させるから」

 そう言って兼定は内線電話の受話器を手にした。
「あっ、清光……中巨人の妊娠検査は終わった? そう、終わっているのね。今すぐこっちに来て……そうよ、大至急。来るときに例の儀式用衣装をあたしの分も持ってきて……そう、あんたと二人で祈るから……卵もトレーラーで運んできなさい……ゴチャゴチャ言っていないて早く来なさいよ、わかったわね」

 受話器を置いて兼定が言った。
「すぐに来るから……あたしたちの守護神を見せてあげる、その時、話してあげるわ……『いやさか共和国』が、軍事国家に変貌した経緯を」


 しばらくして妹の清光がやってきた。清光と一緒に倉庫に入ってきたのは、秋と同じくらいの大きさの、斑模様卵が積まれたトレーラーだった。

「兼定姉さん、持ってきました……卵と衣装を」
「ご苦労さん、守護神復活の儀式を行うわよ……着替えて」
「あたしも一緒に、やるんですか……アレ」
 顔を赤らめる清光。

「姉さん一人でやってみても……もしかしたら、一人で祈っても守護神は復活するんじゃ」
「いいから着替えなさいよ、双子姉妹の祈りじゃないと復活しないって文献には残されているのよ!! 言うことを聞かないと、その中巨人の口に放り込んで巨人のエサにするわよ!!」
「ひっ! それだけは勘弁」

 兼定の言葉に秋は苦笑しながらチ○ポをピクッと動かす。

「いや、別に放り込まれても食べないから、裸族人類は食人鬼じゃないから」


 しばらくして、南方民族の水着みたいな衣装に着替えた双子姉妹が秋の前に現れた。腰にパレオを巻いた姿の清光は恥ずかしそうに立っている。

 小人姉妹の兼定と清光が、寄り添い手を握り合うとハモるように言った。
お願いです……卵を返してください。

 秋がどう反応したらいいのか困っていると、兼定が「よし、つかみはOK」とガッツポーズをする。

「じゃあ、これより復活の儀式と祈りの唄をはじめワケだけど……その前に、どうして『いやさか共和国』が軍国になったのか話してあげる……そう、あれは酔っぱらったクソタコ野郎の宇宙人が、突然海から現れた日」

 兼定の話しだと、この『いやさか国』は元々、南国の共和国で国民は南方民族の格好で平和に暮らしていた。

「本当に突然だった、あなたたちと同じ大きさで。酔っぱらいタコ型宇宙人が頭にネクタイを巻いて上陸してきた……そのタコ型宇宙人は町に居座ると、平和に暮らしていたあたしたちを集めて『小人たち踊れ!』だの『食い物持ってこーい』だの『酒持ってこーい』だの連日連夜、あたしたちを強要して酒盛りを開かせた」

 兼定が拳を握り締めて、当時を思い出してワナワナと怒りに震える。

「そのうちに踊りの振り付けにネタ切れしてしまったあたしたちは、禁書の古文書や失われた伝承まで引っ張り出して踊りの振り付けにアレンジしたの……その時、偶然にも守護神を目覚めさせる儀式の踊りも復活して、守護神の力でクソタコ……“タイチョー”とか言うタコを追い払うコトができたの……その後に襲来してきた、大巨人の蹴鞠貴族を撃退できたのも、我々の守護神の力よ」

 兼定はトレーラーに乗った、卵に目を向ける。
「大巨人や酔っぱらいタコは撃退できても、中巨人が攻めてきたら守護神の力だけじゃかなわない……中巨人には中巨人を……あたしたちは、そのために『汎用〔はんよう〕人型性欲兵器』の開発に乗り出したの」



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