いざ!小人の国へA
美久の脅威を見た小人軍が、新たな兵器を投入してきた。
『レールガン戦車』〔電磁加速砲車両〕や、砲身の先端にパラボラアンテナのようなモノを付けた『自走メーザー砲車両』や、周囲の風景に溶け込む『スチルス仕様の光学高エネルギー砲戦車』を見た美久は。
「あの兵器はヤバい……退散」と、呟くと手足と頭を亀のように胴体に引っ込めて、裸体に引っ込めた手足の穴から炎を吹き出しながら、高速回転で逃げて行った。
残された響子は、瓦礫の中から起き上がると、飛んでいく美久に助けを求める。
「美久さん、ズルいですよ自分だけ逃げて!!」
逃げ出そうとする響子に向かって、捕獲ワイヤーが接続された数十発のロケット弾が発射される……響子の体に絡みつく捕獲ワイヤー。
「きゃあぁぁ!!」さらに身動きができなくなった、響子のヒップに向かって注射器型の誘導ミサイルが撃ち込まれ、麻酔薬を注入された響子はその場に前倒れする格好で倒れ……意識を失った。
響子がふたたび意識をとりもどしたのは、どこだかわからない真っ暗な場所だった。
ひんやりとした空気の中……仰向けに寝かされていた響子は、起き上がろうとして自分の体が拘束されているコトに気づく。
(動けない? どうなっているの?)
首と手首、それと腹と足首の六ヶ所を幅が広い革ベルトのようなモノで床に拘束されているのを感じた。
目だけを動かして暗闇の中を見ると、赤く光るランプや小さな非常口の明かりが見えた。
(ここどこ? あたしいったい?)
響子がそう思った次の瞬間……いきなり、天井から響子の全身にライトの光りが浴びせられ、響子は眩しさに一瞬顔をそむけた。
闇の中……耳の近くから女性の声が聞こえてきた。
「やっと麻酔が切れたみたいね……『中巨人』の女」
次々と天井からライト明かりが点灯して、響子が寝かされていた場所が明らかになる。
響子が床だと思っていたのは、金属製の低い手術台で、響子は巨大な倉庫のような場所に仰向けに寝かされ、拘束されていた。
倉庫の中には何やら移動クレーンのような装置や、ロボットアームのような医療器機もある、そしてミニチュアサイズの医療器機を操作しているのは白衣姿の小人たちだった。
明るくなった室内で自分の体を確認した響子は驚いた、響子はいつの間にか衣服を、すべて剥がされ一糸まとわない裸体で寝かされていた。
響子が身に付けているモノと言えば、機械城で悦郎の体内から出てきて、軍医タコがお守り用にネックレスに加工してくれた。鉄のキ○タマだけだった。
(あたし、裸だ)
響子の耳の近くから、また先ほどの女性の声が聞こえてきた。
「本当に巨人の乳は小山みたいにでかいわね……もっとも、あんたたちの体のサイズが異常で、あたしたちの大きさが人間の標準なんだからね」
見るとそこには、真紅の軍服を着た双子の姉妹軍人の小人が並んで立っていた。
双子の一方は勝ち気で気丈そうで、もう一方は気弱で内気そうな眼鏡軍人だ。
気が強そうな方の双子の片割れが言った。
「中巨人が、この『いやさか軍国』に出現するなんて、何ヵ月ぶりかしら……見たところ、着衣人類よね。一緒にいた裸族人類の中巨人は逃したけれど。最初から裸族人類を捕獲できるなんて思っていなかったから……中巨人の女、名前はあるの?」
響子は自分の名前を、小人の女に告げた。
「ふ〜ん、響子って言うの……まぁ、そんな名前いずれは必要なくなるけれど」
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