いざ!小人の国へ@【いやさか軍国】

 蘭花と銀牙が巨人国の浜辺に到着して串刺しになっていた頃……美久と響子も、小人国の磯浜に到着していた。

「ちょっと美久さん見て、可愛い羊がいるよ」

 響子が美久を呼んだ丘の上には、ミニチュアサイズで体長二センチほどの羊の群れが草を食べていた。柵で囲われた羊たちの近くには、模型のような風車小屋があり海風を受けて風車が回っている。

「この国って動物もミニチュアだね……最初に何をするの?」

「う〜ん、とりあえず、一番近い町へでも行ってみる?」

 響子と美久は、町がありそうな方向へ歩きはじめた。

 やがて、前方に響子の首から上が覗く程度の高さの壁が出現した。壁は何か外的から守るように円周で続いている。

 響子が壁の上から中を覗くと、ドールハウスのような欧州風の建物が並ぶ町があった。

 町には小人たちが住んでいた……大通りを馬車で行き交う小人たち、賑わう市場で買い物をしている小人たち、平穏な小人の世界がそこに存在した。

「本当にあったんだ小人の国」
 響子がもっと良く見ようと壁の縁に手をかけた時、共同住宅のベランダで洗濯物を干していた、若い女の小人が響子の頭の影に気づいて顔を上げた。

 壁の上から覗き込んでいる響子の姿を見た、小人の女が悲鳴を発する。

「きゃあぁぁぁ!?」

 女性の悲鳴に他の小人たちも響子たちの存在に気づいて、一斉に響子の方を見た。

 恐怖の表情を浮かべた小人たちが、口々に叫んで逃げ出す。
「中巨人だぁぁ!!」
「逃げろう!! 喰われるぞうぅ!!」

 パニックに陥る小人の町。警報が鳴り響き、建物の窓やドアが次々と閉じられていく。

 響子は逃げ惑う小人たちに向かって話しかける。
「ちょっと待ってください、何もしませんから……逃げないでください、キ○タマのコトを聞きたいだけなんですから」

 響子が壁の縁を少し強く握った瞬間、壁が崩壊して響子は、町の中へと少し前のめりの形で転がり入る。

 崩れてきた壁と響子の体で数棟の建物が崩壊した。

 立ち上がった響子は、スカートについた汚れを手で払う。
「すみません悪気はなかったんです、壁と建物壊しちゃって、ごめんなさい」

 響子が頭を下げた、次の瞬間……町の随所から一定の間隔で、鉄製の防御壁が響子たちの侵入を阻止するかのように、地面の中から突出した。

 防御壁と防御壁の間に、電極から高圧電流が流される。

 サイレン音に混じって、町のスピーカーから女性の声が聞こえてきた。

『緊急防衛ライン発動、中巨人二体侵入、一体は全裸』

 上空を編隊を組んだ戦闘機と双胴機体の爆撃機が飛び、戦車隊が進行してくるのが見えた。

 戦闘機や爆撃機からの機銃弾や爆弾が二人に降り注ぐ。
「きゃあぁ……やめてください」

 戦車隊からも連射される砲弾が、響子と美久に向かって撃ち込まれた。やがて、町のいたるところから砲台が出現して攻撃が激化した。遠方からはミサイルが二人に向かって次々と撃ち込まれる。

 響子の衣服が爆発で千切れ飛んでいく、砲弾や爆弾の衝撃は響子にも、少し我慢すれば耐えられないほどの痛みではなかった。

「やめてください!! 攻撃しないで!!」
 響子は涙目で攻撃に耐え、裸族人類の美久はキョトンとした顔で攻撃を受けていた。

 やがて、続く攻撃で二人の背後にあった高い建物が崩れ、響子と美久の体が崩れてきた瓦礫の下に埋もれると。

 攻撃は止まった……小人の兵隊の「やったか!?」と、いう声が聞こえた次の瞬間、瓦礫の中から八方に閃光のスジが走り。瓦礫を跳ね除けて、ゴジ○のような背ビレを突出させた美久が出現した。

 美久が天に向かって咆哮する。
「あんぎゃぁぁぁぁッ!!」

 サンゴのような背ビレが光り、美久の口から発射された熱線が戦闘機を薙ぎ払う。

 美久は地上の戦車に向かって、ガメ○のように口から火炎を放射した……爆破炎上して後退する戦車隊。

「あんぎゃあぁぁぁッ!!」

 美久はキ○グコ○グのように胸を叩くと、飛んでいた爆撃機をジャンプして叩き落とした。

 エビ側裸族人類とカニ側裸族人類のハイブリッド裸族人類・美久が父方の裸族人類から受け継いだ裸族能力だった。

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