淫らなシンデレラ城@〔裸の王子さま〕登場

 白刃を鞘に収めて、裸体に陣羽織の女桃太郎が言った。
「大丈夫か、渓谷にリアカーが着陸するのが見えて、悲鳴が聞こえたから来た……オレは女桃太郎、こっちにいるのは長靴をはいた裸猫

 羽根飾りがついた帽子を被った、裸猫がニャアと鳴いて尾骨の末端から伸びている猫の尻尾を振る。

「よろしくにゃ……あたしたちは、タコの軍医さんから頼まれた護衛者だにゃ」

「よろしく、あたしは尻目」と、尻目は女桃太郎の方にヒップを突き出すと股間から覗く巨眼を見せた。

「あたしは美久……裸族人類」美久は足の裏から炎を吹き出して、数センチ空中に浮かぶ。

「あたしは、響子……見ての通り、着衣人類です」

 響子の言葉に裸猫は、猫の目のように瞳孔を丸くする。

「にゃ? 護衛するのは着衣人類かにゃ」

「とりあえずはメシだ、童話の町の飲食店で美味い飯屋を知っている……やたらと、注文が多い料理店だが」

 女桃太郎の道案内で響子たちは、童話の町へと向かっていた……その頃、童話の町にあるシンデレラ城では、ある騒動が起こっていた。

 城内のバラ庭園で『裸の王子』が、花嫁候補の姫君を追いかけ回していた。

「あっははは、待て待て……あっはははは」

 頭に王冠を被り、丈が短い赤いマントを身につけただけの裸王子は、チ○ポをプラプラさせながら燐国から来たドレス姿の王女を追いかける。

 変質者から追われている、ドレス姿の着衣人類の姫は、恐怖に引き攣った表情で逃げる。

 やがて、燐国の王女に追いついた裸王子は、姫のウェストに背後から抱きつく。

「捕まえたぁ」
「ぎゃあぁぁぁぁぁッ!!」

 花嫁候補の姫君は、壮絶な悲鳴を発すると王子を突き飛ばして、そのまま城外へと走り去っていった。

 一人残された裸王子は、残念そうに舌打ちをする。

「チッ! また逃げられた」

 裸王子がバラの花を摘んで股間を隠して遊んでいると、一人の童女が近づいてきた。

「おやまぁ、また逃げられたんですか……せっかく、あたしが燐国から探して拉致……もとい、連れてきてあげた着衣人類の姫君だったのに……こうなったら、花嫁選びは裸女の姫で妥協したらどうですか」

 性格が悪そうな童女の言葉に、裸王子は顔をしかめる。

「裸女は、いつも裸だから脱がせる楽しみが無い……着衣人類の姫だから、いいんだよ。裸だらけの国だから着衣姿の方が興奮するんだよ」

「そんなものですかね……まぁ、王子がそう言うなら別にいいんですけれど(けっ! この前は東洋の十二単の姫君、その前は中東のアラビアンな姫君だったじゃねぇか……この変態王子、何人逃がせば学習するんだ)」

 裸王子は、元々は広場に飾られていた黄金の銅像だった……体の金を少しづつ剥がして、貧しい者に分け与えいった結果。金の銅像の中から、なぜか裸の王子が現れた。

 裸の王子は露出狂の着衣人類だったが、裸女の裸の女王が王子を自分の養子にした。

 変態な裸の王女が、根性が悪そうな裸女に言った。
「乙姫……いや、今の名前は妖気……」

 王子の言葉が終わる前に、一発の銃弾が近くのバラの花を散らす。

 ハッ! として王子が振り返ると、樹の陰に腕組みをして不敵な笑みを浮かべて立っている裸赤ずきんと、猟銃でこちらを狙っている裸身の狩人がいた。

 うわずった声で裸王子が言った。
「と、とにかく……着衣人類の姫が欲しい、探して連れてきてくれ」

「わかりましたよ、その代わり約束は守ってくださいよ……あたしが、この町で何をしても、裸の女王には口出ししないように進言してください」

「わかっている」

 旧名・乙姫の裸女は裸王子の股間に、ぶら下がっている二つの塊を眺めながら内心思う。

(願いが叶う黄金のキ○タマには興味ないけれど、もしかしたら金の銅像の中から出てきた裸の王子のキ○タマなら金色に輝くキ○タマかも知れない……それを奪って売却すれば、裸族世界実現の資金に……ふふふっ)

 自分の股間の袋にそんな視線が注がれているとも知らない、変態王子は腰に手を当てて青空を仰ぎ眺めた。


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あきゅろす。
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