淫らな渓谷@

 響子たちが『童話の町』に到着する数分前……長靴をはいた裸猫と、女桃太郎は町の喫茶店でカフェタイムを満喫していた。

 猫缶のミルフューユを食べながら裸猫が、向かい側の座席で携帯電話に送信されてきたメール確認をしている女桃太郎に訊ねる。

「にゃあ、タコの軍医さんから送られてきたメールには、にゃんて書いてあったんにゃ?」

「童話の町に来る着衣人類の女性の護衛を、オレと裸猫に頼みたいそうだ」

「引き受けるのかにゃ?」

「あの方が起こした騒動〔裸族人類オールスター大戦〕の時にはタコ型宇宙人にも迷惑を掛けたからな……不毛な戦いが終わった後に、タコ軍医はオレたち童女を手厚く擁護してくれた……その恩義を感じているから、護衛を引き受けるつもりだ」

「桃にゃんが引き受けるにゃら、あたしもやるにゃ……一人はみんなのために、みんなは一人のためにゃ……それにしても」

 裸猫は女桃太郎の美乳を、じっと見る。
「桃にゃんのオッパイまた少し大きくなったにゃ、うらやましいにゃ……【爆乳玉】を作る時には、あたしも少しは乳力の協力するにゃ」

「いや、その気持ちだけで十分だから……それ以上、乳が無くなったら悲惨だから……それに乳力を吸収できるのは、着衣人類の乳だから」

「じゃあ【尻子玉】の時に……尻職人の尻力を」

「尻力を集めて【尻子玉】作れるのは別の裸女や裸男だから……オレは『尻よ! 世界中の尻職人の尻よ! オラにちょっとだけ、みんなの尻力分けてくれ』なんて言いたくないから」

 裸で向き合って喫茶しながら談笑している二人の女……シュールな光景だった。


 童話の町で、長靴をはいた裸猫と女桃太郎が雑談をしていた頃……源サンが引く、リアカーの荷台に乗った響子と尻目は、真空の宇宙空間で口と鼻を押さえて、のたうち回っていた。

「ふぐぅぅ! んぐうぅぅ!」

《目ん玉や内臓が飛び出てこねえように、しっかり尻の穴を締めて、口を押さえな……あと少しで大気圏だからな》

 響子と尻目は、バブルで包まれたリアカーの荷台で、必死に耐えている。

 飛び出そうになる目玉を押し戻し、膣穴を締めて子宮が飛び出てこないように耐える。

「ふぐぐぐぐっ」
 耐えきれなくなった尻目の、股間からサッカーボールほどの眼球が、ボフッと体外に飛び出た。

 金斗雲に乗ったリアカーと並んで飛行している。膣穴からも炎を吹き出しながら胴体だけで、怪物亀〔ガ○ラ〕のように回転飛行している美久の裸体から。

「根性出して、内臓出ないように、がんばれ!! ファイト!」の声援が聞こえた。

 やがて大気圏に突入すると、今度は大気との摩擦熱でリアカーは真っ赤になる。

「うぎゃあぁぁ!」いつもの灼熱地獄に響子は悲鳴を発し、妖女の尻目の方は落ち着いた様子で股間から飛び出た眼球を、元の穴に押し込みもどした……裸女は真空の宇宙空間では、裸族人類のようには生存できないが。着衣人類よりも環境変化への耐性は強い。

 山頂に雪を被った山並みが見えてくると響子の表情も、やっと安堵した表情に変わった。

 響子が呟く。
「ふうっ、前よりも、だいぶ慣れてきたけれど……宇宙空間で、内臓が飛び出さないように耐えるのって大変」

 響子は眼下に広がる山並みを眺めながら、リアカーを引いている源サンにあるコトを質問してみた。

「源サンはタコ側裸族人類が集結した『裸族人類オールスターズ大戦』のコト何か知っている?」

《オレも直接、見聞きしたワケじゃねぇが……乙姫とか言う、根性が最悪の裸女が引き起こした。戦いだったって聞いているぜ、童女たちを使って、裸女が支配する世界の頂点に君臨しようとした。乙姫の野望を阻止するために、裸族人類たちが団結して戦ったそうだ……その時はタコ側だけじゃなくて、イカ側とかクラゲ側の裸族人類も参戦協力したそうだぜ》



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あきゅろす。
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