童話の町B〔いざ!出陣!〕
自分が人間であるコトを、すっかり忘れてしまっている響子は、足を伸ばした四つ足立ちの格好で「んもぅぅ……んもぅぅ」と、鳴いている。
「大丈夫ですよ、少し荒治療になりますが治します」
そう言うと軍医タコは、二十センチほどの長さがある鋭い鍼状の器具を取り出して口にくわえた。鍼の後ろには束ねたコードが接続されていて、その先は電子機器に繋がっている。
軍医タコが、紺色の作務衣〔さむえ〕を着込むと、隊長タコが吹き鳴らすトランペットの音色が聞こえてきた。チャララ〜ン、チャチャチャラララ、チャララ〜ン〔必殺仕事人の出陣テーマ曲〕
響子の背後に回り込んだ軍医タコが、響子の頭頂に長い鍼を打ち込む……ドスッ!
鍼を打ち込まれた響子は、グルンと白目を剥いて。
「あ゛ッ!?」と、奇妙な声を漏らした。某カンザシ職人の仕事人に扮した軍医タコが言った。
「ふぅ……なんとか、狙った部位に正確に刺さりました……数ミリ深く刺さっていたら、響子を絶命させてしまうところでした……これから脳内に特殊なパルスを流して、響子の脳内に癒着して新臓器に変わった『子タコ』を媒体に大脳新皮質を刺激して、人間の自覚を呼び覚まします」
軍医タコが機器のスイッチを入れると、響子の裸体がパルスの刺激でビクッビクッ痙攣する。
「んもぅぅぅ!! んもがぁぁ……あッ、あぁぁぁぁッ、ぎもぢいぃぃぃ!」
響子はペタンと床に腹這いで伏せる。軍医タコが鍼を引き抜くと、響子がゆっくり二足で立ち上がって言った。
「はッ!? あたしは今まで何を? 頭が少し痛い?」
軍医タコが響子に説明する。
「人間の自覚を、とりもどしましたか……響子は今まで家畜になっていたんですよ、ちょっと響子に、頼みたいコトがあったので元にもどしました」
軍医タコは響子に『童話の町』へ行って黄金のキ○タマを探してくれるように頼んだ。
「蘭花たちは一緒に行かないんですか? あたしたちだけで大丈夫かなぁ」
響子はセックスモードに突入して「あぁん、あぁん」喘いでいる蘭花を見る。
「今回は、蘭花と銀牙は、ここで響子が帰ってくるまでセックスを続けて留守番です……心配なら、童話の町でボディガードになりそうな童女に、わたしの方から通達して響子を守るように頼んでおきますから……それに、童話の町には蘭花と銀牙は行かせたくないので」
「それは、どうして?」
「これは、わたしの憶測の範囲ですけれど……あの町を裏から牛耳っている人物が、優秀で強い裸族人類の肉体を狙っているような気がしてならないのです……『傀儡遊園地』の時に、デマを流して強い裸族人類を園内に、誘い込もうとしていた疑惑もあるので」
トランペットを吹き鳴らしていた隊長タコが、聞かれてもいないのに横から口を挟む。
「その裸族人類の強い肉体を狙っている奴って言うのは、あの宇宙で一番性悪女の童女か……以前、童女たちを率いて『全裸女支配』に乗り出して、うちのタコ側裸族人類オールスターズに、ボコッボコッされた……あの時は確か竜宮城の【乙姫】と名乗っていて、復活後に改名したとか聞いたぞ……新しい通り名は確か……【妖気……】」
隊長タコの言葉が終わる前に、銃声が響き渡り、隊長タコの柔らかい眉間に銃弾がめり込んだ。
「ぐはぁぁ!」
狙撃されて、のけぞり倒れ意識を失う隊長タコ。
軍医タコは周囲を見回す。
「どこから銃弾が? 異次元の狙撃者? ミステリーです……まぁ、隊長狙撃事件はどうでもいい事柄なので置いておいて。響子着衣して『童話の町』でキ○タマ探してきてください」
と、いうワケで響子、美久、尻目の三人は童話の町へと向かった。
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