人間園@
蘭花と銀牙の性器が動物たちの玩具になっていた頃……近代的な動物の町から少し離れた郊外にある牧草地が広がる、のどかな風景の田舎村。
そこの小さな教会の礼拝堂の床に、一匹の黒い犬と疲れきった表情の少年が寄り添うように横たわっていた。
十五歳前後の少年は疲労感の中にも優しい笑みを浮かべながら、眠るように横たわっている黒犬の頭を撫でながら話しかける。
「疲れたろう……パト○ッシュ……ボクも疲れた」
顔を上げた少年の視線は、礼拝堂の壁に掲げられた一枚の絵画に注がれる。そこには、背中から白い翼を生やした全裸の裸族人類女性が十字架に磔られ、股間にバイブを挿入された格好で、淫らな淫欲の笑みを浮かべている姿が描かれていた。
十字架に昇架させられた裸族女性の乳首は、洗濯バサミのようなニップル責めの性具で挟まれ……磔にされた十字架ごと裸の男たちの手で、丘に立てられる様子が描かれている。
「ご覧パト○ッシュ……ボクは初めて見ることができたんだ……憧れていた、ルーベ○スの……」
少年の言葉が終わる前に、それまで黙って話しを聞いていた黒犬は眉間に怒りのシワを寄せると、両目を開けて立ち上がり少年の胸ぐらをつかんで怒鳴った。
「ケダモノが気持ち良く寝ている隣で、なに勝手に『フラ○ダースの犬』ごっこ、はじめてやがる!! 人間の分際で!!」
少年は泣き顔で、犬に詫びる。
「ご、ごめんなさいご主人さま!! ついつい、やってみたくなって……許してください!!」
「うるせぇ!! 人間なんてこの動物の国じゃ家畜以下の存在なんだよ、身の程をわきまえろ! 第一オレは犬じゃねぇ! 戦う狼『バトラッシュ』様だ! パト○ッシュなんて名前じゃねぇ!」
バトラッシュが壁の絵画を指差す。
「それに、おまえが観ていた絵画はルーベ○スの贋作で。フラ○ダースの犬の主人公が観ていたのは十字架から降ろされている、降架を描いた絵画だ! ルーベ○スがこんなエロい変態絵なんか描くか!」
バトラッシュは、拳を握り締める……礼拝堂のステンドグラスから差し込んでくる明かりの中に、白い翼を生やした数匹のドーベルマン犬の天使が舞い漂っているのが見えた……その姿はまるで、マルコキアスという悪魔の姿そのものだった。
バトラッシュが怒鳴る。
「ほら、動物の国の天使が迎えに来たぞ!! さっさと寝ろ!! ギャ○クティカ・マグ○ム!!」
「ひぇぇッ」
バトラッシュが強烈なアッパーで少年を吹っ飛ばすと、少年は衣服からスポッと脱皮するように全裸のフルチンで空中を舞った。
背景に射精した精液の銀河系が広がる幻想の中……犬の悪魔のような天使に導かれた少年は「うふっ」と、笑みを浮かべながら夢の中へと昇天して行った。
数秒後……意識を失って全裸で床に落ちてきた少年の顔には安らかな笑みが浮かび、股間は自分が放出した白い体液で汚れていた。
バトラッシュが荒ぶる呼吸を整えていると、顔に『ひょっとこ』のお面をつけて、洋服を着たハムスターがチョコチョコとやってきて言った。
「親分は、また召し使いの人間をアッパーパンチで昇天させてしまったのだ……今月に入って四人目なのだ。喋れる人間は燐国の人間の国から、連れてきたレアな人間なのだ……そのうちに言葉を忘れて家畜化や、ペット化や野生化するのだ」
「うるせぇ、『ひょっとこハム吉』もっとマトモな召し使い人間を、人間市場で選んで買ってこい!」
少し離れた床には、数体の裸の男女が意識を失って折り重なっている。
ひょっとこハム吉が肩をすくめる。
「やれやれなのだ……親分の人間消費は激しいのだ。市場で買ってきた人間も、すぐに使い物にならなくなるのだ……ちなみにボクは、ひょっとこ被って走るのだ。大好きなのはヒマワリの種なのだ。これでいいのだ」
「誰もおまえのコトなんか聞いてねぇよ、勝手に自己紹介してんじゃねぇ……退屈だな、また人間とセックスしてぇな」
「それはダメなのだ、人間と動物とのセックスは、この国では【人姦】〔じんかん〕と呼ばれているケダモノ行為……もとい、タブー行為なのだ」
「うっせぇ、そういったタブーを破るスリルが楽しいんじゃねぇか……と、言っても市場や牧場で放牧されている人間は飼い慣らされていて、【人姦】しても面白味がねぇからな……そういえば、動物半島に『裸族人類』のつがいが来ているとか、ニュースでやっていたな……確か蘭花と銀牙とか言う名前の」
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