動物半島A

 裸族人類の背中から出た翼を見て、動揺した一匹の犬の警官が拳銃を握り締める。

「あわわわわわんっ!」
 強く握った弾みで、銃口から発射された銃弾が蘭花に向かって弾道を描く。

 蘭花は、まるで映画の『マトリックス』のように、肢体を仰け反らせて飛んできた弾丸から裸で逃れる。

 銃弾は蘭花の乳頭に当たって軌道が変わり、蘭花の乳房がプルンと揺れた……その時間、コンマ数秒。

 蘭花の動きを目で追えなかった響子が、パチッパチッと瞬きをする。
「なに? 今、何が起こったの?」

 犬の警察官が呆然としていると、走ってきた漆黒の公用車がパトカーの近くに停車して、車の中から背広姿のオラウータンが出てきた。

 オラウータンが言った。
「銃を下ろせ! この方々はタコ神二号さんの裸族人類だ、怪しい者ではない」

 オラウータンは、蘭花の前に進み出てきた。オラウータンの周囲には数匹のゴリラのSPが警護をしている。

 蘭花の近くまで来た、オラウータンが喋る。
「犬の警官が失礼をしました……わたくし、この動物半島で総理をしております『オラ・ウータン総理』です……タコ神二号さんから、動物半島においでになった理由は伺っております……とりあえず、官邸においでください……そこで詳しいお話しを」

 蘭花たちは、動物半島の総理官邸へと連れてこられた。

 首相室で椅子に座ったオラ・ウータン総理が蘭花と銀牙に言った。

「動物半島で光る黄金のキ○タマを、お探しだとか……現在情報を収集中ですが。光るキ○タマに関する情報では、数日前に山中に落下していく発光キ○タマを見たという報告が一件だけあったそうです……落下後すぐに西の空へ飛び去ってしまったそうなので、未確認飛行物体の類だったみたいですね」

「そうですか……響子だけ、あたしたちから離されて、別の場所に連れていかれたみたいですけれど?」

「着衣人類は、この動物の半島の法律では、家畜以下の扱いを受けるコトになっています……そのコトを話しましたら、嬉々とした表情で『ぜひ、家畜みたいに響子を扱ってください! すっごく淫らなコトしてください……はぁはぁ』と、自分から家畜舎の方に行ってしまいました。もっとも、タコ側裸族人類さんのお連れですから、特例で家畜体験ということで繁殖受精までは行いませんが」

「はぁ?」

「キ○タマの情報が集まるまでの間、動物たちの学校で家畜人間学科の授業に参加なされて、時間を潰されてはいかがでしょうか……なにしろ、観光資源も名物もない、動物の国ですから」

 オラ・ウータン総理の話しを聞きながら、銀牙は内心(この半島自体が動物放し飼いの『サファリパーク観光地じゃねぇ?』)と、思った。

 とりあえず特別にやるコトも無かったので総理の提案に従って、蘭花と銀牙は動物学校の授業を受けてみるコトにした。



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あきゅろす。
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