憑依〔冴絵に獣姦……妊娠させる〕C


 翌日……男たちの精液の匂いが消えないうちに憑依された冴絵は、別の一戸建ての家へとやって来た。

 そこでは、異様に動物好きな夫婦が、冴絵が来るのを待っていた。

 小型のワニを膝に乗せて撫でている主人が、冴絵に言った。

「約束通りに、来てくれたね……獣姦をするために」

 夫の隣には生きたブタを、ソファー代わりにして座っている婦人がいた。

「あたしたち夫婦の性癖に、共感してくれる人が見つかって嬉しいわ……動物は好きかしら?」

 冴絵に憑依している、男が言った。

「この女の体で交尾させてくれるなら、どんな動物でも好きになるよ……それにしても、獣姦マニアの夫婦とはな」

「一般人には理解されない性癖だからね……ここにいる動物とは、全部交尾した」

 婦人が大型犬に、ノーパンの股間の匂いを嗅がせながら言った。

「最近では、他人が獣姦されている姿に興味を覚えましたの……ネットで募集はしていますけれど、男女ともいざ動物と交尾する段階になると臆してしまって」

「オレは逃げないぜ……さあ、何と交尾をすればいい?」

「今、発情しているのは小型馬のポニーだな……すぐに用意をする」

 室内にポニーが連れてこられた。ポニーは冴絵の股間の匂いを鼻を近づけて嗅ぐと、興奮したように嘶〔いなな〕いた。

 主人が笑う。
「ははは、馬の方も気に入ったようだ」

 クッションが付いた斜めの台がポニーの下の床に置かれた。

 主人が冴絵に言った。

「この台の上に仰向けになるのだ……膣穴の位置が馬のぺニスの挿入角度と合うように調整する」

「馬と正常位か……おもしろそうだな」

 裸の冴絵が腰を持ち上げた格好で台に横たわると、主人は台のハンドルを回して、挿入角度を調整する。

 冴絵の腰が上昇して、馬のぺニスの受け入れる準備が整った。

「これで、興奮したポニーが挿入してくれる」

「早く挿入してくれ」

 人間とセックスするように調教された、ポニーのぺニスが冴絵のヴァギナに近づく。


 冴絵の意識は、動物との性交に恐怖する。

《い、いやっ……やめて、動物と交尾なんかしたくない……やめてぇぇ!》

 ズブッと容赦なく挿入された、冴絵のヴァギナが動物の腰で突かれる。

 ドスッドスッと、馬に子宮を突かれるたびに、冴絵の下腹部が、亀頭の形に盛り上がる。

 冴絵の意識は崩壊寸前だった。

《あ、あたし……馬とセックスしちゃった……動物とエッチしちゃった……あはっ、あはあはあははは》

 憑依している男の方は「ついにやったぞ! 冴絵を馬と交尾させたぞ!」と、興奮した。


 そして数ヵ月後。

「あはぁ、もっともっと気持ち良くさせてぇ……お腹の赤ちゃんに、男のミルク飲ませてぇ……あっはははは」

 下腹部が膨らんだ妊婦腹で、見知らぬ男に騎乗して腰を動かしている冴絵の姿があった。

「ヴァギナ……気持ちいぃ……はぁぁ」

 ドルンドルンと、妊婦腹が上下に揺れる。

 冴絵の体には、卑猥な落書きがされていた。

 冴絵の体の中にいる男は、今や一日数回、男を交換してセックスをしなければ我慢できない、淫乱な女へと変貌した冴絵の姿に満足そうな笑みを浮かべた。

(ここまで淫乱に変わったか……満足だ)

 男がそう呟いた時、頭上から声が聞こえてきた。

《もう、未練はないのだな……この時を待っていた》

 冷たい刃物が通過する感覚がして、男の幽体は冴絵の肉体から切り離された。

《ずいぶん長いこと待ったぞ……さあ、霊界に行くぞ。おまえに拒否権は無い》

 三日月型の大鎌を持ち、黒いフードの下から骸骨の顔が覗いていた……死神だった。

 男の幽体に鎖が巻きつき、引っ張られる。

(ど、どこへ連れて行くんだ?)

《おまえのような奴が行く場所は決まっているだろう……地獄だよ》

(い、いやだ……助けてくれ)

《今さら何を……あの女の肉体を、好き放題に弄んでいたくせに……地獄行きは決定事項だ》

 死神は妊婦で、男に騎乗している冴絵を見下ろす。

《おまえが抜ければ、あの女も正気にもどる……ひとつだけ良いことを教えてやろう、あの女の腹に宿っている命は世界を救う【救世主】となる魂の子だ……神から祝福され人々から愛される、幸せな人生が約束されている》

(そうか……オレは聖母に憑依していたのか)

 死神の言葉に、うなだれた男は黙って地獄へと向かった。

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