短編
メガネとへなちょことポメラニアン(マ王/ユヴォル+村田)
「…にしても、渋谷も物好きだよねぇ。よりにもよって、なんでフォンビーレフェルト卿なわけ?」
「よりにもよってってなんだよ、村田!!ヴォルフはさぁ、世界一…いや!!宇宙一可愛い!!」
「あんなきゃんきゃん吠えるポメのどこがいいのやら…僕には理解出来ないね」
煩いことこの上ない。
渋谷を見つけては吠え、渋谷と一緒にいれば『へなちょこ』、渋谷が自分以外の誰かと一緒なら『浮気者』。
渋谷は本当に疲れないんだろうか。
「……聞くまでもないか」
「何を?」
「いや、なんでもないよ」
「なんだよ、村田ー。気になるから教えろよー!!」
彼絡みのことだと、野球のこと並みに煩い渋谷は僕の肩をがくがくと揺さぶった。
その振動でメガネがずり落ちてくる。
メガネっ子にとってメガネは命なのに。わかってないな、渋谷は。
「…彼、やっぱり結構可愛いなぁ、と思ってさ」
「おぉ!!村田もヴォルフの魅力がわかったのか!!なら…」
「だからフォンビーレフェルト卿を僕にくれる?」
『って、聞こうと思ったんだけど』
そう言う前に、物凄い目で凄まれた。
本当、笑っちゃうね。
「冗談だよ、冗談。僕はあんなポメラニアンは嫌だよ」
「本当に冗談だろうな、村田」
「本当本当。…ほら、噂をすれば。おーい、フォンビーレフェルト卿!!」
大声で呼んでやれば、始めはいかにも嫌そうに顔をしかめ、直後見つけた大好きな人に顔を輝かせた。
もちろん彼のことだ。素直に喜びはしないだろうけど。
「ユーリ!!……大賢者と何を話していた!?この浮気者!!」
「うわっ、ヴォルフラムのことだよ!!ヴォルフは可愛いなって!!」
「…っ!!…そ、そんなことでぼくは騙されないぞ!!」
「本当だって!!」
本当、ラブラブだねぇ、お二人さん。
もうぼくの存在なんてすっかりぽんと忘れているだろ?
「ははっ、…お幸せに」
なんてね。
-fin-
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