On your mark 第二十八話 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 翌朝三人は出発した。結局勝巳と正紀は後にどうするかの答えは出せなかったが、とにかくまず彼女を逃がしてあげようと決めた。 途中、道端にあった自動車を盗む。この時代には珍しいタイヤ式のオープンカーだ。 「じゃいくか。」 正紀が運転席に、勝巳は彼女を抱えて助席に乗る。彼女は不安そうに胸に手を当てていた。 疑似天球外へ抜ける長いトンネル。警察隊の検閲もかわし、もはや妨害はなくなった。 日光注意 暗いトンネルの天井にそんな看板がかかっている。 生命不保障 再びそんな看板が見えた。2人は構うものかという感じだ。 「俺ら、初めて空を見るんだよな?」 勝巳が何かワクワクしたように言う。 「ああ……本物の空だ。」 正紀は静かに答えたが、彼も何かワクワクしているようだ。 [前へ][次へ] [戻る] |