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On your mark
第十一話
それから数日の後。
作戦に参加した隊員は特別給与と3日の暇が与えられた。
2人はその日をそれぞれに過ごし、夜になった。


勝己は行き着けの居酒屋に向かう。この時代には珍しく、腰の曲がったお婆さんが手作りで営んでいる小さな店だ。


店内には既に正紀が待っていた。勝己を見つけるなり、小さく手を振っている。

「勝己さんや、今日は何にしますかえ?」

奥からお婆さんニコニコしながらやってくる。

「ああ、黒河と味噌おでんを頼むな。」

お婆さんは軽く一礼するとゆっくりと厨房に歩いていった。

勝己は黙って正紀の隣に座った。


「なあ正紀、あの子…治療のあと東京西生物大学の研究室に搬送されたらしいぜ。」


「ああ、そう…か。」

2人はそれからしばらく黙っていた。
いつもなら宴会状態になりへべれげに酔っ払うまで飲むのだが、今日は違った。

「………。」

2人の考えている事は一緒だった。


空に帰りたい…。


彼女が言ったその言葉が頭に響いている。傷ついた身体で自分達に助けを求めてきた彼女の顔が何度も頭をよぎった。


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あきゅろす。
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