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ぬら孫×庭球
奴良組
side鯉伴

 「゛七重八重花は咲けども山吹の
      実のひとつだになきぞ悲しき″」

 俺に背を向け、山吹を摘む少女は昔愛した女と瓜二つだった。お互いに愛し合って結ばれたのに、和歌を残して消えた妻。自分たちの間に子を成せたなら、目の前の少女の様に可愛かっただろうな、と考えて笑みを浮かべた。

「あのあと…山吹の花言葉を何度も調べちまったっけ。゛気品″゛崇高″
 そして…゛待ちかねる″まるで…」

―――オレたちの娘みてぇだ…
 

 そう続けるはずだった言葉は落下してきた何かに遮られた。その何かを確認しようと体をずらしたが、後ろからリクオに呼ばれ振り向いた。だが、直ぐに動けなくなってしまった――後ろから刺された刀によって。

「え…」

(――ああ、やはりオレを許しちゃあくれねぇのかい?…―乙女)

 体をずらしていたのが幸いしたのか、刀は左肩を貫いただけに留まった。しかし、昔とはいえ愛した女に瓜二つの姿をした少女に襲われた事実はオレの次の行動を制限させるには十分だった。

 だが、少女の異変によって状況は一変した。

「ああ…ああ…あ…鯉伴…さま……?」

 苦しみながらオレを゛鯉伴″と呼ぶ少女にまさか、と嫌な予感が頭の中を占める。

「ああああああああああああ!!!いや…いや…鯉伴様ああ!!!」





「――乙女…」

(泣くな…オレはまたお前を苦しめるのか?)

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あきゅろす。
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