ぬら孫×庭球
3
――辺りに緊張がはしる。
先に構えを解いたのは羽衣狐の方だった。
「止めじゃ、妾は復活したばかりで気分が良い。今回は見逃してやろうぞ!…行くぞ、ミナゴロシ地蔵」
「キッヒッヒッ。はい、羽衣狐様」
その言葉を最後に羽衣狐たちは去って行った。
そして、その直ぐ後に首無や鴉天狗たちがやって来た。
「二代目えぇ!!ご無事ですかああああ!?」
「おう。とりあえずお前ら話しは家に帰ってからだ」
「鯉伴、リクオ様は若菜様と総大将とご一緒です。怪我ひとつ無く、ご無事ですよ」
「そりゃあ良かった!」
息子の無事を聞いた鯉伴は一息ついた。そして思い出した。自分の怪我が腕だけに済んだのかを。
「おい、お前らそこの山吹の辺りに何か無いかい?」
「…何かって……。!おい、子供が!」
――子供?
「首無、そいつを連れて帰るぞ」
そう言い、足を進めようとすると鴉天狗からストップがかかった。
「お待ちください二代目!!その様な素性の知れぬ者を本家に入れるわけには…!」
「だがなぁ、カラス。理由は分からねえがこいつが落ちて来たお陰で腕ひとつで済んだんだ。こいつが居なかったら死んでたかもしれねぇ。こいつは俺の恩人だ。」
「…う、うむ。そういう事でしたら。」
渋々と頷くカラスにサンキュー!と礼を言う鯉伴。2人の浮かべる表情は実に対照的だった。
「じゃ、帰るか!」
子供を首無に任せ、歩いて行く。今後どう動くか思い巡らせながら―…
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