1st stage: Bottom of hole
白い兎が急ぎ歩く。早く、早くと焦りながら。
私はそれを追いかける。離されないよう息を上げながら。
兎の向かう先にあるのは真っ黒な虚で。
兎はそこに、吸い込まれるようにして姿を消した。
覗き見る虚は何処までも深く。
手を伸ばせば引きずり込まれてしまいそうなほど真っ黒で、底など見えるはずもない。
思い切って飛び込めば、落ちる、落ちる、何処までも。
足の付かない闇の中。
不意に過ぎるは薄ら寒い怖気。
漸く着いた闇の底では、一枚の扉がにたりと笑う。
覗き込んだ覗き穴の向こうに広がるものが何なのか。
……今はまだそれを知ることは出来ないのだろう。
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