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涼宮ナツキの策略
第79話
長門先生は俺たちの顔から視線を外さない。と言うよりは、俺たちが長門先生の顔から視線が外せなかった。長門先生の視線には何か特別な力があるのだろうか。

時間にしては短いのだろうが、しばらくすると、長門先生は俺たちの間をくぐり抜け、職員室を出た。慌てて俺たちもその背中を追いかける。

長門先生の向かった先は図書室。当然誰もいないので、部屋の中は肌寒い。

「こっち」

長門先生が振り向くと、俺たちは長門先生の指した部屋に入った。言うまでもない。約半年後ナツキがSOS団の部室にする部屋だ。

部屋の電気をつけても、その中は薄暗かった。長門先生がパイプ椅子を引いてちょこんと座ると、俺たちもそれに倣って座る。

「何をしにきたの」

やっと耳に届くような音量なのにその言葉がやけに強く感じたのか、美春はさっきまでの態度から一変して、いつもの美春に戻っていた。思わず口を紡いだ美春の代わりに俺が答える。

「実は俺たちに用があるのは、この1年後なんです」

「どういうこと?」

「まあ、それなりの事情があって」

あえてあやふやにしたにもかかわらず、長門先生は俺の言葉で全て納得したかのように立ち上がると、ガスコンロに火をつけて何を始めるんだろうか?

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