涼宮ナツキの策略
第50話
「これ、ホントにあんたが作ったの?」
ナツキの部屋の中でサンドイッチをほおばるナツキ。その姿はえさを頬袋にためるハムスターのようで、俺はゆっくり自ら作ったサンドイッチをくわえていた。
「いいかげんしつこいぞ」
「ごめん、ごめん。でもこれ本当においしいわね」
素直に褒めるナツキは珍しいが、俺はそれを素直に受け止めることができなかった。なんだかくすぐったくって、何かがこみ上げて今はふくらみのある胸が熱かった。
「そんなに食うと母さんの飯が食えなくなるぞ?」
「大丈夫、今日はあんたと一緒に済ませるつもりだったし」
どういうことだ?別に飯を食うぐらい俺の家でも出来るだろう?
「たまにはね。お父さんにも会いたかったし」
ははん、ホームシックってやつか。お前も案外寂しがりやなんだな。
「ち、違うわよ!ただ、今日はお姉ちゃんもキョン先生も遅くなるって言ってたから」
留守番が嫌いなんだな。確かに子供の頃は嫌で嫌で仕方なかったが、慣れてしまった今では逆に留守番の方が好きになっている。静かだしな。
「で、寂しくて帰ってきたと」
「うぅ……」
俺の言ったことは図星だったみたいで、ナツキは何も言えないのかサンドイッチを口に運ぶのをやめて固まっていた。
「でもまあ」
俺は手に持っていたサンドイッチを口に運ぶと、
「たまには、いいかな」
なんてらしくないことを俺は言ってしまい、ナツキはそれに安心したのか、ほっと胸をなでおろしたようだった。智樹さんが何か言ってきても知らないからな。
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