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涼宮ナツキの策略
第49話
ナツキの家の前でナツキはどこか遠くを眺めるような目で見ていた。俺は鞄に入っていた鍵を取り出してドアを開けると、

「ほら、入んないのか?」

と、ナツキを急かした。ナツキは俺の言葉に気がつくと、隠れ家に逃げ込むハムスターのように小走りで入ってきた。

「お前の部屋にお茶もってくから、先に行っとけ」

俺は担いだ鞄をリビングのソファーに投げると、ナツキに文句言われないようにお茶を入れる準備をしていた。

「ねえ、このタッパー何?」

ナツキが何かを見つけたらしく、俺に尋ねた。タッパーそんなとこに置いてたっけ?

「これ、サンドイッチ?ちゃんと冷蔵庫に入れてないとダメよ」

ナツキはタッパーの中のサンドイッチを一つ口にくわえる。俺は朝の無駄な行動を思い出し、何か熱いものがこみ上げてきていた。

「これ、もしかしてあんたが作ったの?」

「そうだけど、何だよ」

やかんを火にかけると、俺はあえてナツキに背を向けてお茶の葉を探していた。

「へえ、あんたも料理できるんだ」

馬鹿にしないでほしいね。一応あの料理上手の母さんの息子だぜ?実際にしたのはかなり久しぶりだが、あの母さんの背中を見ているんだこのくらいなら俺にだって出来る。

「今度、レシピ教えてくれない?」

俺は思わず振り返り、ナツキがサンドイッチをくわえる姿を見た。もう片方の手にももう一つ握られていて、俺はなんだか恥ずかしかった。

「ねえ、お茶まだ?」

ナツキはタッパーのふたを閉め両手で抱えると、お茶を煎れるのを急かした。言われなくても今やってるよ。

でも、何故かナツキの顔には笑顔が浮かんでいて、何か満足したようにほくほくしていた。俺はその顔を見る余裕もなく、慌ててお茶の葉を探していた。

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あきゅろす。
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