涼宮ナツキの策略
第48話
授業も終わり、大したこともないのでいつものように親父は1分以内にHRも終わらせる。俺としてはまあグダグダ話されるよりはよっぽどいいんだが、今日は少し状況が違う。
ナツキは図書館のカウンターに置かれていた紙とマジック、それからセロハンテープを失敬し、でかでかと「今日の活動はお休み!by団長」と書き殴ると、部室のドアに叩きつけた。耳の奥にはまだその音が響いている。
「別に来てもいいがな、少しぐらい俺を信用してくれてもいいんじゃないか?」
「嫌よ。団員の環境管理もあたしの役目だもの。あんたは特別にあたしに検査されるんだから、感謝されてもおかしくないくらいだわ」
どこか自慢げにそういうナツキは何があっても俺の部屋、いや、俺が使わせてもらってるナツキの部屋に来るらしい。別にいいんだぞ、別に。でもなんで俺の心臓はこんなにもバクバクしてるんだ?これも、この間の一樹先輩と一緒にいたときと同じようなことか?それはまた面倒なことだな。
「それにあたしの大事なものもたくさんあるから」
静かにナツキは呟いた。大事なもの……ナツキの母親の写真とかだろうな。他に思いつくのは、どこかに隠された女の子の秘密が詰ってるかわいらしいノートに書かれている日記とかだろうか?
「あんた、あたしの部屋あさってないでしょうね?」
どすの利いた声でナツキは尋ねる。もちろんあさってはいないが、そう言われると宝探ししたくならないか?
「何かよくないこと考えてるでしょ?」
「いいや。よく見ていけよ、俺はそんな疑り深い男じゃないってことを証明してやるから」
まあ、今は都合上女の子なんだけどな。そこはスルーしていただくとありがたい。
それでもナツキは信用していないらしく、俺をじとっとした目で睨んでいた。
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