涼宮ナツキの策略
第46話
机の上にうつ伏せていると、頬に冷たい何かが触れた。びっくりして飛び起きると、ナツキが悪戯じみた顔で笑っていた。
「あたしの体で勝手にダイエットしないでくれる?」
「そんな勝手な真似はするつもりねーよ」
ナツキの手に握られた缶ジュースを受け取ると、栓を開けて口につけた。
「何かあったの?」
もう一本のジュースを口につけ、ナツキは心配そうに尋ねた。別にお前に心配されることは何もねえよ。早く元の体に戻ることだけ考えとけよ。
「そうね。あんたの言うことに間違いはないわ」
缶ジュースを一気に飲み干すと、ナツキは何かをたくらんだ顔で俺に尋ねた。
「ねえ、今日あたしの部屋に行っていい?あんたが汚してないか心配なのよ」
「別に心配することはないぞ。俺はきれい好きだからな」
「あんたの言うことは信用できないわ。今日絶対に行くからね。いいわね!」
声高らかにナツキが言うと、俺は一つ溜息をついて自分の考えていることが馬鹿らしくなっていた。別にナツキの心配することはしてはいないが、一つ心配することがある。
「俺は別にいいけどさ。智樹さんにばれたらヤバイんじゃないのか?」
「お父さん?別にいいわよ。あんたのことはよく話してるし」
俺の話?変なことは言ってないだろうな。と言うか、俺の何を話してんだ?
「別に何も言ってないわよ!」
ナツキは頬を赤らめ、俺が絶対しない表情で怒っていた。ただ、その俺の顔を使った表情がナツキの顔と重なり俺は思わず目を背けた。
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