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涼宮ナツキの策略
第44話
「どうしたキョウ?そんなに息を切らして」

親父の悪戯じみた笑顔に、俺はうざったく感じていた。というか、親父も俺の体のこと知ってたんだ。

「ああ、お前のことなら何でも知ってるよ。お前の背中にやけどの痕があることもな」

そんなのあったっけか?全然知らなかった。って、やけど?いつの間にそんなことあったんだ?

「嘘だよ。ほら、さっさと教室に行け。じゃないと遅刻取るぞ」

「ちょ、待てよ。走ってきてへとへとなんだって」

と言いつつも、俺は朝からくたくたの体を教室に向かわせていた。学校に来てるのに遅刻を取られるなんて、たまったもんじゃないからな。

階段をハイキングコース以上にきつく感じ、登り終わるころにはその場に倒れこみたいほど疲れていた。教室まで体をひこずって、俺は教室に入った。

「何その顔、何かあったの?」

ナツキの今日第一言目がこれだ。言葉は心配そうに尋ねるが、実際はめんどくさそうな感じだった。

「さっきまでデットラインギリギリを低空飛行してたんだよ」

「何それ」

ナツキは半ば呆れ気味で、今日の朝の会話は今までにない短さで終わった。ナツキが前を向くとすぐに教室の扉が開いて、さっきまで俺に嫌味を言っていた親父が入ってくる。

そしてまた、俺の日常が始まる。しかし、この日常を過ごせるのもあと少しなんだろうな。元の体に戻りたいとは思ったが、今となってはそう考えると名残惜しいとも感じるようになっていた。

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