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涼宮ナツキの策略
第42話
包丁なんて握ったのいつ以来だろうか。中学校の家庭科の調理実習はほとんど食べる側だったから、あまり調理をした記憶がない。

だが不思議と手は動く。ナツキの体が感覚を覚えてしまっているからだろうか。俺は今まで指に切り傷をつけていない。

「何作ってるんだ?」

リビングのドアが開くと同時に、目を擦りながら智樹さんは尋ねた。キッチンのテーブルに少し大きめのタッパーを置いているのを見つけると、

「サンドイッチか。知ってるか?パンはトーストにしてはさんでもおいしいんだと」

と一つつまみ、口の中にほおりこんだ。

「つまみ食いすんなよ」

「いいじゃないか、一つくらい」

と、もう一つつまもうとする智樹さんの手を俺は叩いて止めた。すると、智樹さんは諦めたのか手を引いた。

「けちけちすんなよ」

智樹さんは大人らしくない、いじけた表情をすると、顔を洗いにいったのかキッチンから出て行った。

味見をしてなかったんで少し不安だったが、さすがはナツキだ。いい意味で殺人的な料理の腕は本物で、食事に関してはうるさい智樹さんも黙らせた。

俺は食パンをトースターにかけると、すでに何品目か分からないサンドイッチの具を作り始めた。

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