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涼宮ナツキの策略
第40話
いつの間にか時計は8時過ぎを指していた。これ以上ここに長居してはさすがにヤバイなと思い送ってもらうことにした。

「じゃあ、明日から未来に行ってくるね」

玄関元で俺が靴を履くと同時に美春は言った。さっきのふくれ面ではなく、笑いながら。

「おう、頑張って来い」

俺は美春に親指を立てた握りこぶしを向けると、美春も同じ形の手をし、親指をくっつけてまた笑顔をふりかけた。

「じゃあ、お邪魔しました」

俺はぺこりとお辞儀をすると、長門先生と長門さん、一樹先輩も俺に倣い頭を下げた。

「また来てくださいね」

「また来ることになりますけどね」

みくるさんの言葉に俺がそう答えると、みくるさんは幼い子供のようにぺろりと舌を出し、頭を小突いた。その仕草が微笑ましく、俺はくすりと笑うと美春とみくるさんに手を上げ、背を向けて玄関を出た。

11月の寒空にも星はいつものように瞬いて、吹き抜ける風は冷たくて、俺は少し身震いをした。俺は宇宙人2人に超能力者1人、これ以上ない完璧に近いガードを受けながらナツキの家に向かっていた。

ただ俺は、そんな護衛を受けているとは思えない。今俺の周りにいるのはかわいい同級生に頼れる先輩、それから信用できる先生で、それ以上もそれ以下もない、少し外れた日常を俺は少し楽しんでいた。

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