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涼宮ナツキの策略
第32話
「はぁー」

とりあえず、少し古めのパソコンを前に溜息をつく。すると、横からすっとお茶が差し出される。

「急がば回れですよ。何事も慎重にです」

トレーを胸の前に当てて微笑む長門さんの顔を見ると、とても和む。自然と俺の顔も緩んでしまう。

「そうですね」

長門さんの煎れてくれたお茶を飲む。体の端から端まであったかくなり、俺はふぅと息をつく。

「今日もおいしいですね」

「ありがとうございます」

と、そんな幸せなひとときも、勢いよく開くドアによってかき消される。俺の体をしたナツキが倦怠感漂わせて入ってきた。

「どうしたんだ、そんな機嫌悪そうな顔して」

「どうもこうもしないわよ。ただ、掃除当番だっただけ」

まあ、めんどくさいよな。俺も実際何度朝倉に首根っこ掴まれて脱走を拒まれたことか。

「あんた、何であんなに焦ってたの?」

長門さんの差し出したお茶を一気に飲み干して、ナツキは俺に尋ねた。俺のほうをじっと見つめて、やけに真剣そうな顔をする。

「なんでもないさ。ただ、誰よりも早く長門さんのお茶が飲みたかったくらいの理由さ」

「へぇー」

ナツキは眉をひそめて怪しい笑みを浮かべていた。なんとなく感じるのは、爆発寸前といったところか。

「冗談だよ」

俺は苦笑を浮かべ、そういい直した。

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