涼宮ナツキの策略
第30話
窓の外に飛ぶ鳥を眺めていると、一瞬うらやましく見える。俺も自由な空を飛びまわってみたい。
「ナツキ……あたしの授業がそんなに退屈?」
背中にすごい視線を感じる。そして冷や汗が流れるのを感じた。そして、後ろにとてもどす黒いオーラを感じる。
「い、いえ、そんなことないですよ?」
「ふーん?」
現国の教科書を丸め、手でぽんぽんと叩きながら、不気味に笑う母さんが立っていた。
「テストだけが成績の基準じゃないんだよ?」
「はい、分かってますよー」
母さんの声はどんどん黒く聞こえる。トーン的には変わってないと思うが……そして、笑顔がとても怖く見える。
「じゃあ、ナツキには追加課題。明日までに反省文原稿用紙10枚ね」
「そんなぁ」
周りのみんなは大笑いしているのにもかかわらず、俺は一人嘆いていた。ただ、前の席に座っているナツキは俺の視線に気づくと、ふんとそっぽを向き、俺は溜息をつくしかなかった。
そして、すっかり俺の体のことは忘れて、母さんに急遽出された反省文のことしか考えることが出来なかった。ってか、原稿用紙10枚って何書きゃ埋まるんだ?
地獄の午後の授業、現代国語を終えるまで俺は鷹のような母さんの視線と、時々感じるクラスメートからの冷ややかな目線におびえながら、時計の針が授業終了の時刻を差すのを待っていた。
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