涼宮ナツキの策略
第29話
「ふーん。で、あたしの力が必要なんだね」
俺の話を聞いた美春は、どこか誇らしげに頷きながら返事をした。というか、国木田に言われるまでお前が未来人だってこと忘れてたよ。
「あうー、ひどくないキョウくん」
いつものことだろ?気にすんな。
「でも、それ成功したらキョウさん元に戻れるんですよね?」
長門さんは眩しい笑顔で、胸の前で手を合わせて言った。俺も笑顔で返事する。
「そのはずですよ。あくまで仮定ですけどね」
国木田と朝倉を信じないわけではないが、なんとなく胡散臭い答えでもある。美春に時間移動なんてすることが出来るのだろうか。
「でも、一番現実的な手だと思いますよ?あたしたちの考えた案は危険を伴うので、生身の人間にはやめたほうがいいものばかりですから」
笑顔で怖いことを言う長門さん。聞いてみたい気もするが、聞かないでおこう。イメージダウンってわけでもないが、この人に言われたら俺がマジにしそうだからな。
「じゃあ、とりあえずお姉ちゃんとか、長門先生に聞いてみない?こういうことなら詳しいかもしれないし、キョウくんもたくさんの意見を聞いておきたいでしょ?」
確かにな。みくるさんや長門先生なら、信用できるし、もっともな意見が聞けそうだ。美春の言うように、もっと専門的なことも聞けるかもしれないしな。
「じゃあ、放課後にでも聞いてみるか」
ほんとは今すぐにでも聞きに行きたいのだが、それはおそらく無理だろう。授業を無視して行くのなら別だが、今はナツキの体だし、他人の体で単位を落としちゃまずいからな。
「うん」
美春は元気よく頷くと、ちょうど良くチャイムが鳴り、俺たちは午後の授業に向かうことにした。ただ、俺にとってこの午後の授業が半端なく長く感じられたのは言うまでもない。
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