涼宮ナツキの策略
第2話
「明日も体育あるんだから、別に置いててもいいんじゃないか?別に汗もかいてないだろ」
「嫌よ、汚いじゃない」
俺は別に気にしないけどな。忘れてくるよりはいいじゃないか。真夏の体育の後の体操服はさすがに着にくいが。
そんな会話をしているうちに階段に差し掛かる。特に気にすることもなく一段一段降りていた。その時、
「あっ!」
と、ナツキが言ったころには遅かった。ナツキの前を歩いていた俺も巻き添えを食らい階段を転げ落ちる。何がなんだかわからなかった。
とはいえ、大事には至らなくて済んだみたいだ。鈍い痛みが体全体を走る。
「痛ってえな。気をつけろよな!」
俺は起き上がり、目の前の状況を確認する。目の前には男の頭があった。
「しょうがないじゃない!足が滑ったんだから」
その男が大声で言う。ちょっと待て、これはどういう状態だ?
「お前、ナツキだよな?」
俺は男に話しかける。
「何よ。文句でもあんの?」
「文句はないけどな。何でお前俺になってるんだ?」
俺は男の上から降りて、顔を確かめる。男の横には俺とナツキの鞄と、ナツキの体操服を入れているネコの袋が投げられていた。
「何馬鹿なこと言ってんのよ?」
男は立ち上がって俺の顔を見る。その顔は確かに俺の顔で、そして口調はナツキだった。
「何であたしが目の前にいるのよ!」
半ば逆切れ気味でナツキは叫ぶ。それは俺が聞きてえよ。何で俺がそこにいるんだ。
つまり簡単に言うとこういうことだ。
俺の体とナツキの体が入れ替わったようだ……
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