涼宮ナツキの策略
第22話
「キョウもいろいろ大変だね」
「そう思うなら変わってくれよ」
「それはできない話だな」
こいつも相変わらずだな。まあいいけどな、こいつらしくていいと言うか。
「まあいいさ。この生活にも大分慣れたしな」
正直慣れたくもなかったけどな。ナツキに振り回される生活も、そして、この体のこともな。でもまあ、悪くはないよ。お前に殺されかけたり、意味不明な空間に閉じ込められたりなんて、俺以外に経験した奴はいないだろうしな。
「俺のことは忘れてくれよ」
国木田は苦笑しながら言った。忘れられねえよ。あれがお前と本当の親友になれたきっかけだからな。今では逆に俺を守ってくれているだろう?
「そうだけどさ、俺は何かスッキリしないんどよ」
「気にすんな。俺はお前を怨んじゃいない。逆に感謝してるんだ」
俺がそう言うと、国木田は大笑いし始めた。何か俺面白いこと言ったか?
「ああ、爆笑ものさ」
国木田は腹を抱えて笑っている。お前の笑いのツボはわけが分からんな。
「でも、ありがとな。こんな奴の親友なんてなってくれて」
国木田の目からは笑いすぎたのか知らないが、一筋の涙が流れていた。当たり前のことさ、お前が俺の親友でいてくれるんなら、お前も俺の親友だからな。一応、谷口もな。
「まったく、キョウらしいよ」
目を擦り、微笑を浮かべる国木田。お前ずっとその顔してろよ。そこらの女子がほいほいついてくるぜ。
そんなありきたりな朝が、俺にとって一番ほっとできる瞬間で、久々に落ち着くひとときだった。
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