涼宮ナツキの策略
第21話
翌日の空は相変わらずの日本晴れだった。昨日はあれからすぐ帰ったが、宿題を課されてたことを忘れていて夜遅くまでやっていた。ナツキの成績を下げるようなことをすると後が怖いしな。
カーテンを開けて差し込む朝日は秋だというのに目にしみる。大きく伸びをして、体を起こす。今日は何も起こってくれるなよ。いっても無駄だと思うがな。
今日は目覚ましより早く起きたせいか(逆に寝れなかったんだがな)、ずいぶん時間に余裕があった。とりあえず身支度をして、リビングに行った。
「今起きたのか」
スーツ姿でコーヒーを飲む智樹さんに挨拶して、俺は首を縦に振った。どうやら出勤前らしい。そういえばこの人、何の仕事をしているんだろうか。朝早くに出勤して、夜遅くに帰ってくるんだから、相当ハードな仕事なんだろうな。
するとすぐに智樹さんは、コーヒーカップをキッチンのシンクに置き、ソファーに置いてあった鞄を肩に担いで、
「じゃあ行ってくる。遅刻するんじゃないぞ」
と、微笑を浮かべて出て行った。この人、俺が昨日遅刻しかけたのを知っているんだろうか?
俺は自分の朝飯を適当にちゃちゃっと作り、それを食ってから家を出た。今日はどうやら遅刻しなくてすみそうだ。俺はいつもの歩調でここ数日通っている通学路を歩き始めた。
もう半年以上も通っているハイキングコースを登っていると、目の前に見覚えのある背中が見えた。俺は走って追っかけると、そいつはいきなり振り返った。
「おっす、キョウ」
「んだよ、いきなり振り返るなって」
「そりゃ後ろから走ってこられたら振り返るに決まってるだろ?」
最近、特に暴れることもなく落ち着いている国木田もどうやら俺のことを知ってるみたいだな。余計な手間が省けてよかったよ。
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