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涼宮ナツキの策略
第15話
今度はナツキも懲りたのか、ノックをして中の様子を窺った。そして内側からは控えめな声で、長門さんのどうぞ「どうぞ……」と言う声が聞こえて俺たちは入室した。

「ごめんなさい」

「いえ……」

ドアを開けてくれた長門さんに素直に謝るナツキ。長門さんは頬をうっすらピンクに染めて、

「私こそいつも迷惑ばかりかけちゃって……」

と控えめに答える。なんとなく空気が気まずい。何とかしなければ。

「あ……あの、お茶いただけますか?」

俺の言葉は虚しくもカタコトになる。長門さんは小さな背中をますます小さくして、ガスコンロに火をつけた。

しばらくの沈黙。重い空気。俺は窓を開けても換気がができないこの空気をいかにして換えるか必死に考えていた。まあ、無駄なことだけどな。

「どうぞ……」

団長机の電源のついていないパソコンとにらめっこしている俺に、雪のようにきれいな白い手でお茶が置かれる。パイプ椅子に座り、頬杖をついてそっぽを向くナツキの前にもコトリと置くと、長門さんは少し離れてちょこんと座った。背中は狼におびえる子ヤギのように震えている。なんともかわいらしいお姿だが、何と惨めな姿だろうか。

「やっほー!」

まあ、その後に入ってきた何も知らない美春の能天気な一言でほっと一息つけることになるんだけどな。

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あきゅろす。
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