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涼宮ナツキの策略
エピソード19
 午後の理論。りりぃ先生の声が心地よくって、あたしは一人眠気との格闘を繰り広げていた。いつもは簡単にノックダウンされるんだけど、今はそうはいかない。だってだって……。
「じゃあ美春ちゃん。ここの答えは?」
 りりぃ先生があたしを指名し、あたしは慌てて計算する。えっと、あれがこうだから……。
「えっと、9.8ニュートンです」
「正解」
 ほっと一息ついて席につく。この計算はもう覚えちゃったかな?
 りりぃ先生の授業はポイントが的確で解りやすくて、あたしの頭脳でも問題がすらすら解けるまでになっていた。それでも上には上がいるもので。
「じゃあ次いくちゃん」
「7.8ジュールです」
 いくちゃんは格段に難しい問題も軽々解いてしまう。それでもさらに上はいるもので、橘くんや枕崎くんはその上をいってるんだから、あたしは嫌になってしまう。
「じゃあ、今日はここまで。美春ちゃん以外は解散!」
 終礼のベルはまだ鳴ってないけど授業が終わり、あたし一人が教室に残ることになった。あたしがバカだから補習でもするのかな? あたし本当に迷惑かけてばっかりだ。
「じゃあ、先に部屋に戻ってますね」
「うん、ごめんね」
 いくちゃんは心配そうにしてたけど、あたしが大丈夫だからって言うと、一歩引き下がって納得してくれた。
 みんないなくなった後、あたしはふと考えた。あたしとりりぃ先生だけだと教室ってこんなに広いんだって。

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