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涼宮ナツキの策略
エピソード9
 教室に戻ると、男の子二人もいくちゃんと同じでもの凄いやる気に満ちているように見えた。あたしは一人肩を小さくして教室に入った。
「おい」
 戸を閉じると、キリッとした視線があたしを睨む。えっと、枕崎くんだっけ。彼があたしを呼び止めた。
「やる気がないんなら家に帰れ」
 視線よりキツい一言があたしにぶつけられた。あたしの目には涙が溜まるだけで、彼に反論なんてできなかった。
「おい、お前言い過ぎやぞ」
 橘くんがあたしの味方になってくれてるけど、あたしにとってはあんまり意味がなかった。枕崎くんの言ってることは正しい。だから、あたしは何もできない。
 あたしは一歩引き下がって、本当に帰ろうと思った。だけど……。
「美春ちゃんに謝ってください!」
 びっくりするほど大きな声が教室を揺るがした。隣に立っているいくちゃんはいつの間にか枕崎くんの前に移動して、机に手をつきハッキリ聞かせるようにもう一度言った。
「美春ちゃんに謝ってください!」
 なんでいくちゃんが怒っているのか解らなかった。いくちゃんの言葉には迫力があって、枕崎くんの視線もだんだんと弱くなってきた。
「悪かったな」
 と枕崎くんがぼそりと言うと、いくちゃんは納得したように自分の席についた。
 そんないくちゃんの姿はあたしと違って、とても凛々しく見えた。と同時に、いくちゃんの隠れた部分が露わになって、驚きでもあった。

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