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涼宮ナツキの策略
エピソード2
 意識が復活して目を開くと、あたしは青い空を見上げていた。雲一つない、文句のつけようのない青い空。あたしは頭の下にある柔らかく温かい何かから頭をあげると、辺りを見渡してどこにいるのか確かめた。
「あ。起きた?」
 白ブラウスに紺色ミニタイトのお姉ちゃんが、あたしの横に座っていた。いや、当たり前のことなんだけどね。お姉ちゃんが時間遡行するときは、いつもこのスタイルだし。
「美春ちゃん昨日ちゃんと寝てなかったでしょ? ぐっすり寝てたわよ」
 あたしはドキッとした。昨日は不安でいっぱいで、全然寝られなかったんだもん!
「おかげで足が痺れちゃった」
 お姉ちゃんは困ったように足をさする。そんな顔されちゃっても、あたし何にも出来ないよ……。
「さてと」
 お姉ちゃんは踏ん切りをつけたのか、立ち上がると、痺れているはずの足であたしの前にしゃがんだ。
「今から行く養成学校はこの先にあるの。覚悟はもうできてる?」
 お姉ちゃんの瞳があたしをじっと見つめる。だけど、あたしは目をそらさなかった。
「じゃあ、学校に着いたらリリス・オランジェ先生を呼んでもらってね。話はちゃんとしてあるから」
 リリス・オランジェ先生。確かお姉ちゃんの恩師で、未来の人材育成のエキスパートだって聞いてる。きっと厳しい先生なんだろうな。
「そんなことないよ。行ってみて生徒と変わりのないような先生だから見つけにくいだろうけどね」
 くすくす笑うお姉ちゃん。その笑いがあたしの不安をますます煽る。
「じゃあ、頑張ってね!」
 お姉ちゃんの差し出す拳に、あたしの拳をくっつける。お姉ちゃんの気持ちがそのまま流れてくるようで、あたしは元気に、
「うんっ!」
と、返事した。

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