涼宮ナツキの策略
エピソード1
「これでよしっ!」
送信完了のメッセージを確認すると、あたしは携帯を静かに机の上に置いた。
太陽はまだ顔を見せてないけれど、空はだんだん明るくなってきている。
「美春ちゃん、準備できた?」
お姉ちゃんが階段の下からあたしを呼ぶ。そろそろ出発の時間みたい。
「うん、大丈夫!」
大きな旅行バックを肩にかけ、あたしはお姉ちゃんの待つリビングへ向かう。いよいよ未来旅行がスタートする。
あたしがリビングに入ると、お姉ちゃんはとても不安げな顔であたしを見ていた。
「そんな顔しないでよ。あたしも大きくなったんだから」
「そんなこと言われても、やっぱり不安なの」
昨日、キョウくんたちが帰ってからのお姉ちゃんは、言わなきゃよかったと後悔したようで、ずっと不安げな顔をしている。
「大丈夫、ちゃんとできるよ」
対するあたしは、ずっとお姉ちゃんにこう言っている。
「そう……」
と、溜息をついてようやく諦めがついたのかお姉ちゃんは椅子を引いて、あたしに座るように促した。
「じゃあ、目を閉じて。肩の力を抜いてね」
従順に従うあたし。後ろからガツンとなんて来ないよね?
お姉ちゃんの柔らかい吐息がかかる。その途端立ちくらみの強烈なやつがあたしを襲い、意識を奪い去った。
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