涼宮ナツキの退屈
第十一話
最後のバッターであろう親父がバッターボックスに立つ。
一球目。要求は中にシュート。セットポジションから第一球目を投げる。国木田の構えたところに向かってボールが走っていく。親父のバットが空を切ってワンストライク。
二球目は外にまっすぐ。さっきと同じように親父のバットは空を切ってツーストライク。
最後の球であろう三球目。同じとこに今度はカーブ。俺は球を握り構える。大きく息をはいて気持ちを落ち着かせる。これで最後だ。何も問題ない。
セットポジションからラストボール三球目。思いっきり腕を振り、手首を捻る。
！！！
カーン
ボールは甲高い金属音と共に空へ飛んでいく。そのボールはぐんぐんと距離を稼ぎ、内野を越え、その勢いはまだ留まらず外野を越え、フェンス際でジャンプした一樹先輩のグラブも越えてフェンスの向こうに落ちた。
逆転ツーランホームラン。
カーブがすっぽ抜けて、ど真ん中にいき、親父はそれを見逃さずジャストミート。結果はホームラン。それだけだ。
俺は愕然としていた。まさか打たれるなんて思わなかったからな。
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