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涼宮ナツキの退屈
第五話
というわけで――

その日から一週間たっても俺の目の前にあるノートパソコンの画面は真っ白のままである。

そんな俺とは違い長門さんは努力家だった。図書館で探したらしい本を複数並べ真剣な顔で読みつつ、最初はまっさらだった大学ノートが今ではもうかなり埋まっている。時々見せてもらってはいるが、いろんな話がごちゃ混ぜになっていて俺にはわけが分からない。とは言っても長門さんに適当に返事を返すわけにもいかないので、それっぽいアドバイスを送ってはいるのだが、

「こーらキョウ!いつになったらその石のように固まった手が動くの?」

俺のノートパソコンはさっき言ったようにカーソルが永遠に点滅しただけのまっさらの状態だ。その画面を見たナツキはここ最近俺にいちゃもんをつけるのがマイブームなのだろうか今日もそんなことを言ってきた。

「とはいってもな、魔法少女なんて俺には縁のない話だし、どんなのを書けばいいのかわかんないんだが」

俺が不満をぶつけるとナツキは人差し指で自分の頭をつつきながら、

「何とかしなさいよ。あんたの頭は何のためにあるの?」

少なくとも小説を書くためのものではないと思うのだが。

「難しく考えるからダメなのよ。身近なもので考えてみなさい」

身近なものねえ……と辺りを見回すと、せっせと作業を進めているメイド服の長門さんの姿があった。もし長門さんが魔法少女だったらどんなにかわいいだろうか。と、妄想を膨らませていると、

「あんた、亜紀ちゃんをそんなに見つめて面白い?」

ナツキの背中から黒いオーラが発しているように感じた。俺の第六感がこれはやばいと感じ取って、

「魔法少女なら何でもいいのか?」

「別に何でもいいわよ」

「よーし分かった、楽しみにしておいてくれ。最高傑作を読ませてやるから」

背中に冷や汗をかいている俺の声は微妙に震えていた。

「言ったわね?あたしが納得するような話じゃないと死刑だからね!」

と言ってナツキは部室を出て行った。てかお前、だんだん母さんに似てきてはいないか?

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あきゅろす。
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