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涼宮ナツキの退屈
第四話
魔法少女ってあれか?マジカルなんとかとか、リリカルなんたらとか言うやつか?

「魔法少女」

口に出して読んでみる。これはテーマでありジャンルではない。俺とは全く縁のないテーマだからいくら考えても全くアイディアなんて浮かんでこない。

「美春、お前はなんだった?」

紙から視線を外し、美晴の方を見ると、美春は紙をちらりと俺に見せて赤くなってうつむいた。恋愛小説と書きなぐられたノートの切れ端には文字のほかにも複数のハートも描いてあった。余計なことを。

「長門さんは?」

「童話と書いてありますね。ちょっとほっとしてます」

長門さんにはぴったりのジャンルだな。だけど変わってもらうのはできなさそうだ。何せ変わったとしても意味がない。童話なんてファンタジー的な物語なんて俺には書けそうもないしな。となると残りは……

と、一樹先輩に視線を合わせると、

「俺はミステリーだな。うまく書けるかなこんなの」

いつものスマイルも苦笑いになっていた。どうやら俺には救いの手を差し伸べる人物はいないようだ。

「ちゃっちゃと始める!そうね、まずはプロットを作ってちょうだい。何事もはじめが肝心だからね」

ナツキだけが上機嫌なのは言うまでもない。俺はこの日からすでにスイッチの入れられた古いノートパソコンを目の前に、にらめっこをする日々を送ることになることも言うまでもないことだろう。

というかこのノートパソコンどこにあったんだ?かなり古い型みたいだが。

「ここにおいてあったのよ。お姉ちゃんに聞いたら前のSOS団の備品らしいから自由に使っていいらしいわ」

ナツキが自慢げに言う。お前のものじゃないだろうが!

「このノートパソコンでそこの会誌を作ったらしいわよ。だから、あたしたちに出来ないはずはないの。早く手を動かしなさい。2ヶ月なんてあっという間よ!」

ナツキは団長席にふんぞり返ると、哀れな団員たちを睥睨(へいげい)した。

「もちろん、あたしが面白いと思うものじゃないとダメだからね」

そんなものが書けるならマジで小説家になれるんじゃないのかと思うのは俺だけであろうか?

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あきゅろす。
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