涼宮ナツキの退屈
第三話
図書館の奥、SOS団部室に戻るとナツキは黄色いメガホンを持って、
「さあキリキリ働きなさい。時間は待ってくれないわよ!」
いつの間に作ったのか「編集長」とでかでかと書かれた腕章を腕にはめ、腰に手を当て立っていた。
「え?何をするんですか?」
何も分かってない長門さんが首をかしげる。まあ、当然のことだ。
「SOS団で会誌を作るらしいですよ」
俺は手を横に上げ、溜め息をついた。
「つまり、私たちで本を作るってことですか?」
長門さんは不安の眼差しで俺を見つめる。そんな目で見られても困るんですが……
「簡単に言うとそういうことですね」
俺は大きな溜め息をつく。
「じゃあ、これを引いてちょうだい」
ナツキが俺たちの会話に割り込むと、掌を差し出した。折りたたんだ紙切れが四つ、ナツキの掌に乗せられていた。いったい何を決めるのか分からないが、そのうちの一つを摘み上げる。途端ににやりとするナツキ。
美春が面白そうに、長門さんはビクビクと紙切れを手に取ると、残った一つをナツキは一樹先輩に手渡して、
「そこに書いてあるものを書いてちょうだい。それを会誌に乗せるから」
俺は恐る恐る紙切れを開くと、ノートの切れ端に書かれた活きのいいナツキの字が躍っていた。
『魔法少女』
と、書かれた紙は俺の脳裏に鮮明に映し出されると同時に、俺は倦怠感に陥った。
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