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涼宮ナツキの退屈
第十六話
「いた?」

不安が隠しきれないのか、母さんの顔は曇っていた。

「いや……どこにもいなかった」

「みんなは?」

ナツキに美春、長門さんに一樹先輩、それからみくるさんに長門先生に校長は、誰も首を縦に振らなかった。

「ったく、どこに行っちゃったのよ!」

不安を隠すためか、母さんは怒って見せた。でも隠しきれてない部分もあったが。

「建物の中にはいないということは、やっぱり外に出て行ったとしか考えられないんですが」

古泉校長はあごに手を添えて考えていた。

「そんなことないわ!絶対どこかに隠れているのよ。そうだ!屋上にはまだ行ってないわよね。絶対そこに隠れてるはずだからみんなで行ってみましょう」

母さんは空元気を見せるが不安を隠し切れてなかった。でも、親父はそこにいるはずだと俺も思う。

母さんは最初はゆっくり歩いていたが、段々早歩きになり、しまいには走り出してしまった。俺たちも母さんに付いて走り出す。

屋上には倉庫が一つ、豪雨がその倉庫を叩きつけていた。稲妻が光り、俺の心も不安でいっぱいになる。嫌な予感がする。

その予感が的中することを俺は信じてはいなかった。親父の姿を見るまでは。

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