涼宮ナツキの退屈
第七話
夢の中では何かファンタジーなことをしていたような、そうではないような気がするのだが、記憶を定着させる前に俺は起こされてしまった。
「何してんだナツキ」
寝起きで寝ぼけている俺の体の上に、マジックを片手に慌てているナツキの姿があった。
「え?べ、別にぃー」
わざとらしく口笛を吹きながらナツキははぐらかそうとする。
「じゃあ、そのマジックはなんなんだ?」
「これ?ちょっと絵でも描こうと」
「どこにだよ」
「キョウの顔に」
「お前、俺の顔にいたずら書きするつもりだったんだな?」
俺はナツキをどかせて、マジックを奪う。
「な、何する気?」
「いや、ちょーっとお絵かきを」
「どこに?」
「お前の顔に」
マジックのふたを取り、俺は怪しい笑みを浮かべてマジックをナツキの顔に近づける。ナツキは暴れているが、そんなのは関係ない。
「そういうことは誰もいないところでしろよ」
親父の声が聞こえたかと思ったその時、俺たちはみんなの注目の的だということに気がついた。
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