涼宮ナツキの退屈
第三話
「何のために合宿をするんだ?」
「合宿をするために」
「はあ?」
合宿をするために合宿にいく。それは体の体調が悪いとか、頭痛が痛いとかそんな感じじゃないか?まあそんなことはいいや。
「で、どこに行くんだ?」
「絶海の孤島よ」
さて、キョウの冒険とか言う本があったらぜひ手に取ってくれ。このことの一部始終が書かれているはずだ。たぶん……
「山か海かどっちかにしようと思ってたんだけどね、お姉ちゃんの話を聞いて決めたのよ」
母さんがなんかナツキにふきかけたのか。余計なことしないでくれよ。
「コンコン」
ドアからノックの音がする。客が来る覚えはないような気もするのだが。
「はぁい」
長門さんがドアの方へパタパタと駆け寄って扉を開く、
「ふーん、綺麗にしてるんだ。感心感心」
そこにいたのは母さんだった。母さんは部室を見渡して、ナツキの横に並ぶ。
「いらっしゃいお姉ちゃん」
ナツキの挨拶に母さんは笑顔で返すと、母さんは話し始めた。
「古泉くんの別荘にちょうどいいのがあったんで行こうってことになったのよ。でもあたしたちがいないとキョウは何もできないでしょ?だからナツキたちもどうかって誘ったのよ」
ナツキはパソコンの置いてある机の引き出しの中から無地の腕章を取り出して、それにマジックで「名誉顧問」と書き込んで、
「こんなすばらしい機会をあたしたちにくれたお姉ちゃんをSOS団の名誉顧問に任命します!」
母さんは腕章を受け取ると、まじまじと眺め、それから腕にはめ、
「こうゆうのつけるの久しぶりね」
と嬉しそうにしていた。
「と言うわけで、三泊四日の豪華ツアーよ!張り切って準備しなさい!」
ナツキはそれ以上言うことはないと言いたげな顔で、俺たちを誘ったと思い込んでいるようだった。もちろん違うがな。
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