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涼宮ナツキの退屈
エピローグV
それから時間が経って、今日は文化祭当日。クラスの出し物の責任者にナツキが選ばれ、俺もそれに付き合わされ、ばたばたと日々はすぎていった。

ちなみに会誌は無事に完成し、それからクラスの出し物はそれなりにうまくいって、俺はほっと一息つくことができた。

文化祭にはこの学校の卒業生で、今はメジャーデビューしてるENOZの皆さんがゲストとして招待されて、ライブをしてくれるらしい。これはファン根性というのだろうか、これは見逃せないライブだからな、俺はその時間だけこっそりと仕事をサボるつもりだ。後が怖いしナツキにだけは見つからないように抜け出さないとな。

というか、誰がこんなすごいことを企画したんだろうな。まあ考えられるのは母さんくらいしか浮かばないが。

時間になり、俺は一人教室を抜け出す。ちょうど店の方も空いてる時間だから別に俺一人抜けたってどうてこともないだろう。

ENOZのメンバーが体育館のステージに立った瞬間、空気が一気に変わった。盛り上がるどころじゃない、もう体育館が壊れるくらいボルテージが上がっている。男子も女子も、生徒も客も関係ない。ここはENOZのライブ会場で、見ているのはENOZのファンだ。

「ここでスペシャルゲストを紹介しまーす!」

一通りメンバーの紹介が終わった後、ボーカルの榎本美夕紀さんがそう言った。ENOZの皆さんだけでもスペシャルゲストなのに、これ以上のゲストがいるんだろうか?

その人物が壇上に上がった瞬間、空気が一変した。その場にいた全員がこけているように俺の頭にはSEとなって頭に響く。

「こんにちは!ENOZです!」

そう叫ぶのは、バニー姿の涼宮ハルヒ。俺の母さんだ。そして、ギターを担いで黒いマントを羽織り、黒い帽子をかぶった長門先生の姿もあった。

「……」

もはや出す声もない。驚愕以外に俺の頭に浮かぶ言葉はないだろう。

しかしながら、その美声と演奏は本家本元を超えるような気もしないでもなかった。母さんと長門先生が加わった北高だけのENOZはここでしか聞けない最高のライブだった。

蛇足だが、俺が教室に帰ってナツキと朝倉に大目玉を食らったのは言うまでもない。

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