涼宮ナツキの退屈 エピローグU 部室を追い出されしまった俺たちは、特に行く所もなくただブラブラしていた。 「キミには感謝しなくちゃいけないね」 廊下を歩きながら一樹先輩は話し始めた。 「何をですか?」 「当たりくじを引いてくれたことだよ」 当たりくじ?何のことだか。 「長門先生の言うことはいつも正しいんだけどね、今回ばかりは俺も肝を冷やしたよ。でも、やっぱりキミはきちんと結果を残してくれるから助かってるよ」 と言うことは、あれが長門先生が行き着いた答えだったのか。どうせならもっと安全なものにしてほしかったもんだ。 「そういえば、無限ループの話はどうなったんですか?」 一樹先輩の表情は崩れなかった。聞かなくても分かる、どうやら安心していいみたいだ。 「おかげさまでね。何とか解決したみたいだ」 「一体ナツキは何がしたかったんでしょうね。付き合わされた俺はくたくたですよ」 自然と溜め息が出る。溜め息をつくと幸せが逃げるというが、俺はどのくらいの幸せを逃しているんだろうな。 「長門先生によると、涼宮さんは会誌に書くネタを探していたみたいだね」 「は?」 俺は呆れてしまった。俺はそんなことにつき合わされていたのかよ。 「今まで書いてきたのは納得がいかなかったんだろうね。みんなうまく書いてるのに、自分のはパッとしなかったんじゃないかな?」 大きく息をはく。もうなんとも言えない気持ちに、俺はもう何もする気になれなかった。 [*前へ][次へ#] [戻る] |