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涼宮ナツキの退屈
第十八話
9月になったとはいえ夜はまだ蒸し暑い。ハンドルを握る手は汗でびっしょりだ。

駅前の公園、噴水の前には長門さんだけでなく、一樹先輩と美春もいた。長門さんは沈んだ顔、美春は不安そうで、一樹先輩は苦笑いだ。最悪のことも考えておかないといけないな。絶対何かよくないことが起こっているはずだ。もし、何を言われても受け入れるだけの度胸は俺にはないだろうけどな。

「すみません、待ちました?」

息が切れやっと声になったようなかすれた声で三人に言った。すると、長門さんは首を横に振り、

「急に呼んでごめんなさい。キョウさんには迷惑かけてますから」

気にしないでくださいよ長門さん。俺はあなたの執事になれと言っても喜んでお引き受けしますから。

「早速本題ですけど……」

早速と言うわりには言いにくそうにそわそわしていた。まあ、愛の告白ではないだろう。一樹先輩に美春もいるしな。というより、そんなことされた方が俺は困る。

「実はですね、私たち同じ時間をループしているみたいなんです」

「え?」

予想外というわけでもなかったが、俺は驚いた。どうせナツキ関連なんだろうが、そんなことを面と向かって言われても信じるやつなんていないだろう?もちろん俺も半信半疑だ。

「同じ時間をループ?」

「えーとですね……」

俺が尋ねると長門さんはもじもじしてうつむいた。すると一樹先輩が腕組みをして、

「どうも何回もこの1ヶ月を繰り返しているみたいなんだ」

「どういうことですか?理解しかねないんですけど」

「そうだな。1個ずつ話そうか」

俺はつばを飲んで今からなんてことを言われるのか分からないまま、一樹先輩の威圧感に押しつぶされないように耐えていた。

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