涼宮ナツキの憂鬱
第一一四話
「飲んで」
「ありがとうございます」
誰もいない図書館でお茶お飲むのもなかなかできない経験だ。俺と長門先生しかいない図書館の長机に置かれた湯飲みに注がれたお茶を飲む。とてもおいしい。ただそれだけだ。
「どうしたの?」
長門先生は少しだけ首を傾けて聞いてきた。そういえば長門先生の言葉って原稿用紙1行超えないな。
「いえ、なんでもないですよ」
「嘘」
「え……?」
なんでみんな俺のことが解るんだ?母さんやみくるさんならまだ分かる。授業くらいしか関わり合いのない長門先生がなんで俺のことが解るんだ?
「顔に書いてある」
俺ってそんなに感情が顔に出るやつなんだな。知らなかった。
「どうしたの?」
この人感情をほとんど出さない人だな。でもまあ、この人なら……
「人探しをしているんです」
「人探し?」
「涼宮ナツキって知ってますか?」
まあ聞いたとしても答えは解っているんだがな。
「知っている」
「え……?」
予想外の答えに俺は驚愕を超越して声が出なくなっていた。
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