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涼宮ナツキの憂鬱
第五十七話
ナツキの弁当は量こそ少なかったがその辺のコンビニ弁当よりは格別に、料理亭にも負けないほどの味だった。

「えっと、あれなんだったっけ?ハツ……」

「ハッシュドポテト。一回で覚えなさいよ」

「そうそれ!また作ってくれよ」

「誰があんたのために……」

ナツキは俺の顔を見つめた。なんなんだ?俺の顔に何かついてんのか?

「顔拭きなさいよ。ご飯粒ついてるわよ」

ナツキはハンカチを渡して言った。

「お、おう。ありがとう」

俺はハンカチを受け取り、顔をぬぐった。かすかにラベンダーの香りがついていた。

「なんだよ」

ナツキはまた俺の顔を見つめて今度は、

「マヌケ面」

と言って走っていった。ちょっと待て、いきなり失礼だぞ。まぁ言っても仕方ないことだけどな。

「待てよ」

俺はナツキを追って走っていた。なぜなんだろう何か今楽しい。

そんな昼下がりのこと俺の心の中のアルバムにまた一枚ナツキの笑顔の写真が貼りつけられたのだった。

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