涼宮ナツキの憂鬱
第四十四話
週が明けて月曜日放課後ナツキは動いた。
「失礼します」
職員室。ここから第二ラウンドが始まる。
「涼宮先生はいらっしゃいますか?」
こいつには珍しく敬語を完璧に使いこなす。いや、俺がそう思うだけで実際にはどうか知らないが。しばらくすると母さんが出てきた。
「何か用かしら?」
「お話したいことがあるんです。よろしいですか?」
この間、あんなことを言われたのにもかかわらず、ナツキの言葉はすごく力があるように感じた。
「いいわよ」
母さんはこの後何が起こるか悟っているようだった。俺はふとナツキの方を向くと、ナツキの視線は定まっていて、その目を見ると誰にでも勝てそうな気がした。
場所を移して図書室奥のSOS団部室。
「あら?古泉君に朝比奈さん、長門さんもいるじゃない。どうしたの?」
「SOS団を作るために協力してくれている人たちです」
ナツキは強い口調で言った。
「まだ諦めてなかったの?」
ナツキは俺をちらりと見るとニッと笑う。
「お姉ちゃんはあたしの諦めの悪さ知らないのかな?」
「そうだったわね」
母さんはクスリと笑って椅子に座った。
「それでメンバーは集まっているようだけど、活動内容はどうなのかしら?」
こちらもあくまで強気だ。
「キョウ書類を」
俺は昨日必死に書き上げた書類を母さんに見せた。世界を大いに盛り上げる涼宮ナツキの団じゃ却下確実なので、生徒社会を応援する世界作りの奉仕団体ということにしておいた。ナツキが言うには「うわべだけでいいのよ」ということらしい。
「SOS団ねえ……」
母さんは対抗する支線を崩さず何かを考えているようだ。そしておもむろに電話をかけ始めた。
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